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<事業承継事例 No.2>【オーナー経営者のための事業承継】親族でもなく、M&Aでもなく、「ファンドに託す」という選択肢(事業承継ファンド「TOKYOファンド」)

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「事業承継ファンド」という3つめの選択肢

中小企業のオーナー経営者が抱える事業承継問題は人それぞれではあるものの、実際に取り得る選択肢は、誰もが同じで限られています。
『誰かに承継するか?誰にも承継しないか?』、『親族に承継するか?親族以外の第三者に承継するか?』という選択肢のなかで決めるしかありません。

都内の中小企業で、親族内承継という選択肢がないことが明らかであるゆえ、親族以外の第三者へのM&A(事業会社への売却)を考えたものの、納得いく答えが見出せず、最終的に事業承継の相手として、親族でもなく、事業会社でもなく、“ファンド”という、まだあまり馴染みのない選択肢を選んだ4人のオーナー経営者がいらっしゃいます。

4人が経営する会社は、業種も規模も様々ですが、年商数億円~10数億円、業歴30年以上で地域に根差して堅実な経営をしてきた中小企業です。ただ、齢60歳を超え、経営者としてはまだ元気ではあるものの、親族内に後継者はおらず、いずれ誰かに事業承継しなくてはならないなか、“株式の譲渡相手”として、また、“これからの会社の成長を支援するパートナー”として選んだ相手が“TOKYOファンド”でした。

<TOKYOファンドによる事業承継支援投資先 -都内中小企業4社->

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「TOKYOファンド」とは

TOKYOファンドは、東京都が自治体として資金を拠出し、中小企業の事業承継を中立的な立場で資本面と経営面から支援する、いわゆる“事業承継ファンド”です。正式名称は「TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合」で、東京都が25億円をファンドに出資する他、きらぼし銀行、城南信用金庫、西武信用金庫、東京信用保証協会、株式会社フォーバル、ゆうちょ銀行が出資者として名を連ねています。

ファンドと言えば“ハゲタカ”をイメージする中小企業経営者がまだ少なくないなか、TOKYOファンドは、最大出資者が自治体という公的な顔を持つと同時に、都内中小企業の事業承継を支援しようという、志ある出資者で構成されているユニークなファンドです。 

TOKYOファンドを出資者から委託されて運営しているのが、日本プライベートエクイティ株式会社(千代田区、略称JPE)です。JPEは、20年以上にわたり、中小企業の事業承継や事業再編に特化した投資ファンドを運用する、独立系のファンドマネジメント会社です。

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オーナー経営者が事業承継で求める3つの要件

オーナー経営者が抱える事業承継問題はさまざまですが、皆さんが事業承継にあたって共通して求める必須条件は、①雇用の継続 ②社内外の共感・協力 ③会社の成長 という3つです。

先の4人のオーナー経営者が、事業承継の相手としてTOKYOファンドを選んだ理由は、オーナーとしての円滑な事業承継を実現することはもちろんですが、『社員や取引先に堂々と説明できる選択をしたかった』、『社員に第二の創業を実現してもらいたい』、『本当はやりたかったことやできなかったことを実現してくれる』といった想いや期待に対して、TOKYOファンドであれば実現してくれる、TOKYOファンドであれば事業承継にあたって求める“3つの要件”が満たされると確信できたからだと言えます。


< オーナー経営者が“ファンドを選んだ理由”>

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できそうでできない“経営の承継”

事業承継は、「経営」「株式」「資産」という3つの承継があって、初めて成り立つものです。この3つのなかでも特に難しいのが「経営」の承継です。
経営の承継は、ただ引き継げば済むという話ではなく、社内外の反応や会社の置かれている状況など、バランスを考えながら包括的に進めていくことが必要です。ゆえに、経営者一人でやりとげるのは容易なことではなく、かといって誰かが気軽に手を貸せる話でもありません。

例えば、「経営」の承継にあたり、先の4社の事例のうち3社は、社内に後継者がいないことからファンドが外部から新しい経営者を探して招聘しました。もう1社は、オーナーが指名した社内の人材を社長に登用し、ファンドが新社長をバックアップするという経営体制を構築しています。

経営を承継する人材を外部から招聘する場合、TOKYOファンドでは、その運営者であるJPEが、外部から招聘する後継社長の人選にあたります。オーナー経営者に成り代わり、自分事として会社の将来を考えながら、『会社の社風や中小企業で働く社員の気持ちがわかる人』、『小規模な会社や組織の運営に手触り感を有する人』、『変えるべきところと変えるべきでないところが見極められる人』といったような独自の視点で、『この人なら!』という人に出会うまで、様々なネットワークを駆使して探し続けます。

こうして、「経営」の承継という難題はもちろん、「株式」の承継、「資産」の承継も含めた3つの承継を同時に、かつ円滑に実現すること、さらに、社員、新社長、ファンドが一体となって、「オーナー経営から組織経営へ」というプロセスを進めていくことが事業承継ファンドの担っている役割です。

<TOKYOファンドが派遣した新社長と前オーナー経営者>

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志を継いで 夢をカタチに。夢を継いで 新たなる時代へ。

事業承継ファンドは、オーナー経営者が事業承継で求める3つの要件の実現に必要な“資金”“人材”“経営ノウハウ”という3つの機能をすべて有しています。よって、第三者的な助言や指導だけにとどまらず、自ら資金を出して株式を譲り受けオーナーとなり、自ら人材を探し、社員と共に自ら経営にあたるという、貴重な存在です。さらに、TOKYOファンドは、東京都が主たる出資者という安心感や中立性、運営者であるJPEの実績に対する信頼感といった点からも、他にはない、稀有なファンドであるといえます。

TOKYOファンドが、オーナーが保有する全株式を譲り受け、新しい株主となった後は、会社の成長戦略を策定し、成長のために必要な経営資源を幅広いネットワークと経験で補い、社員と一体となって企業価値の向上と今後の会社の方向性を模索し、3~5年の期間をかけて、次のステージへと導きます。

JPEでは、『志を継いで 夢をカタチに。夢を継いで 新たなる時代へ。』という理念の下、投資支援先の“自立”を尊重できる形での“卒業”を実現しています。“卒業”のパターンは別図の4つに集約されますが、いずれのパターンであっても、会社が自立することを目指しており、JPEのこれまでの投資支援先34社のうち、現在、22社が卒業を果たし、次のステージへと進んでいます。

<事業承継から“卒業”までのプロセス>

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会社を“売る”のではなく“託す”

最近では、オーナー経営者が事業承継問題を相談できる窓口が官民ともに増えてきたことで、経営者が抱えるニーズがようやく顕在化してきました。しかし、未だその内容は、漠然とした悩みでもあり、『いったい誰に任せればいいものか・・・』『今の役員や幹部社員をサポートしてくれるパートナーがいれば・・・』、『もっと伸びる会社であるはずだか・・・』といった漠然としたものでもあります。こうした悩みも夢も全部まとめて受け止め、オーダーメイドで柔軟な事業承継を実現するのも、事業承継ファンドならではの特徴です。

オーナー経営者として、会社を“売る”のではなく、会社の成長可能性を社員と共に追求するパートナーとなるファンドに、会社を“託す”ということ、これが事業承継にあたっての“3つめの選択肢”です。 

<各社の情報・お問い合わせ>
TOKYOファンド
https://tokyo-fund.jp/

日本プライベートエクイティ株式会社(JPE)
https://www.private-equity.co.jp/


(TOKYOファンド 東京都内 事業承継支援投資先)
株式会社アソシエ・インターナショナル 
https://associe-international.co.jp/

株式会社コミュニティセンター 
https://community-center.co.jp/

株式会社ニック 
https://www.nic-bm.co.jp/

株式会社エス・ヴィ・ピージャパン(SVPジャパン) 
https://www.svpjapan.com/

 

【執筆者プロフィール】
法田 真一(ほった しんいち)

日本プライベートエクイティ株式会社 代表取締役社長

1966年生まれ。商工組合中央金庫を経て1991年に独立系ベンチャーキャピタルの日本アセアン投資株式会社(現・日本アジア投資株式会社/JAIC)に入社。北海道、関西、中四国にて、地方のベンチャー企業投資に携わる。
2000年にJAICの新規事業として、中小企業の事業承継・事業再編に特化したバイアウト投資を行う日本プライベートエクイティ株式会社を設立、取締役に就任。2005年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
ベンチャー投資、M&A、事業承継、事業再編など、中小企業と小規模企業の資本と経営の問題に一貫して取り組んでいます。  

<この記事に関連するサイト>
事業承継ポータルサイト|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/jigyoshoukeiportal/