〜経営に役立つ情報・事例を発信するサイト〜
powered by 東京商工会議所

【デジタル・クライシス対策最前線】最終回「リスクに向き合いSNS活用を」

f:id:tosho-antenna:20210908155351j:plain

 
※本記事は、東商新聞 2021年8月20日号に掲載したコラムをWEBページ用に再編・掲載しています。


高まるSNS利用、増加する炎上事案

新型コロナウイルスが日本で流行してから約1年半、ようやくワクチン接種が進み、何とか先が見えてきた。
今後はウィズコロナ・アフターコロナの時代にいかに適応していくかが求められる。

コロナ禍に高まったインターネットやSNSの利用率は今後も維持され、ユーザーにとっては今まで以上に生活に欠かせないものとなっていくことだろう。
ただし、ネット・SNS活用におけるリスクも当然継続してしまう。
シエンプレ  デジタル・クライシス総合研究所の調査では、2021年1~5月に発生したネット上の炎上事案(SNS上で100件以上の言及があったネガティブな事象)は1日平均5件を超え、昨年の年間平均である1日3.9件を上回っている。

つまり、企業は利用率が高まったインターネット、特にSNSを自社のプロモーションの場として活用することが必要になるものの、同時に高まっている炎上リスクをしっかりとケアしなければならないということである。

正しく恐れて覚悟を決める

これまでの連載のまとめを一言で表現すれば、「正しく恐れよう」という言葉になる。
ネットのリスクは怖い。特にSNSは思いもかけない反応をされ、それがあっという間に日本中に広がってしまう可能性もある。
この連載で“デジタル・クライシス”という言葉を使用したのも、その大きなリスクを踏まえてのことだ。  

しかし、ここまで普及したインターネットやSNSを自社の宣伝やブランディングに使わない手はない。だからこそ、リスクは認識しながらも、集客や採用などのためにはこれまで以上にインターネットやSNSを活用しなければならないのだ。 

f:id:tosho-antenna:20210908152251j:plain

そこで、まずはリスクをしっかりと理解し、何かあれば把握できる体制を作っておきたい。
ネットリスクは刻一刻と変化しているが、基本的な部分は変わらない。
SNSに日々投稿されるユーザーの声に耳を傾けてしっかりと向き合い、貴重な意見には真摯に対応し、デマが広まればしっかりと訂正をする。これはオフラインで取るべき対応と何ら変わらない。
ネットを介して意見を届けてくれる顧客や従業員それぞれに対して、企業としてどう向き合うかでしかないのだ。そのためには「何かあればすぐに・正確に察知できる」ことが大切だ。

そして同時に重要なのは覚悟を決めること
今や100%のポジティブ反応はあり得ない中で、どこまでの批判やネガティブな意見を許容するのか、そのラインを決めるとともに、想定されるリスクを最小に抑えるために努力する。
企業として発信するメッセージ(テキスト、画像、動画など)については担当部署だけではなく、社内の別部署や社外の専門業者など第三者が必ずチェックし、炎上要素がないかを慎重に判断することが必要で、社内研修や採用者のリファレンスチェックも欠かせない。  

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という格言がある。
コロナ禍で新たな世界となった今だからこそ、常に世間の動向に注目しつつ、その事例から学ぶことで、デジタル・クライシスを皆さんが乗り切れるよう願っている。 

 

【執筆者プロフィール】
桑江 令(くわえ・りょう)

シエンプレ主任コンサルタント
デジタル・クライシス総合研究所主席研究員も兼務。


<この記事に関連するサイト>

東商新聞 デジタル版(最新号・バックナンバー)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/