東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。
(※)本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。
※本内容は2021年8月2日に配信されたものです。
経営者・総務人事担当者のみなさま、職域接種が開始され、自治体の集団接種でも65歳未満の労働世代への新型コロナウイルスワクチン接種が開始されました。
ワクチン接種後に発熱・かぜ症状が出た方への対応方針は定めているでしょうか?
1.課題の背景
第49回では、のどの痛み、せき、息切れ、発熱、寒気、筋肉痛・関節痛、嘔吐・下痢、味覚や嗅覚の消失の1つでも症状が出たら、出勤・外出や人に会うことを避け、医療機関の受診を検討するように提言しました。
これらの症状は新型コロナワクチン接種後の副反応でも生じることがありますが、ワクチン接種後だから副反応とは言い切れず、新型コロナウイルス感染も念頭に対応する必要があります。
※第49回記事はこちら
2.企業でできる対策
(1)ワクチン接種後であっても、発熱・かぜ症状の出た場合は出勤を見合わせる
(2)ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を再整理する
(1)ワクチン接種後であっても、発熱・かぜ症状の出た場合は出勤を見合わせる
ワクチンによる発熱やかぜ症状は通常(接種日を含めて)3 日以内に発生し、その多くは 1~2 日以内に消失します。
これらの症状はワクチンの副反応によるものなのか、それとも新型コロナウイルス感染症によるものかを区別するのは困難です。
(2)ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を再整理する
コラム第3回(下記<関連情報リンク>(4)参照)では発熱者の職場復帰時期の目安を「発症後8日経過かつ、すべての症状がなくなってから72時間経過後」と提言しましたが、2回目の接種後には40%程度の方に発熱の副反応が生じる可能性があり、この条件をそのまま適用すると、多くの方が長期間出勤できなくなってしまいます。
日本渡航医学会と日本産業衛生学会が合同で公開している新型コロナウイルス感染症対策ガイドで示された、ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を紹介します。
①発熱に加えて、咳、息切れ、鼻水、のどの痛みや味覚・嗅覚の異常を伴う場合
咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚嗅覚の異常はワクチン接種後の副反応では生じないため、新型コロナウイルス感染の可能性を念頭に置き対応します。
- 「かかりつけ医・最寄りの医療機関」もしくは「自治体が設置する新型コロナウイルス受診相談窓口等」に相談し、受診および新型コロナウイルスの検査を受けるよう勧める。その結果に基づき、職場復帰へのアドバイスを受けること。
- 新型コロナウイルス感染症と診断されなかった場合でも、症状消失後72時間経過後に職場復帰が望ましい。(偽陰性の可能性があるため)
- 受診しなかった場合、発症後8日経過かつ、解熱後72時間経過後に職場復帰を目安とする。
②発熱のみ、および発熱にだるさ、頭痛、悪寒、筋肉痛(1以外の症状)を伴う場合
これらの症状はワクチン接種後の副反応でも生じうる症状であり、2日以内に消失すれば副反応である可能性が高いため、以下の条件をいずれも満たす状態で職場復帰させる。
- 業務ができる体調まで回復している。
- 解熱剤を8時間以内に服用していない状態で解熱している。
- 咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常がない。
- 2日以内に回復している。
※3日以上症状が継続する、咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常が出現した場合には、①の対応を行う
③発熱はないが、咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常がある場合
- ①の対応を行う。
④発熱はないが、だるさ、頭痛、悪寒や筋肉痛など(③以外の症状)がある場合
- 14日以内に新型コロナウイルス感染者と濃厚接触がなければ出勤可能。
■図:ワクチン接種後に発熱、風邪症状が生じた際の対応フロー
<関連情報リンク>
1)職域のためのCOVID19対策ガイド(補遺版)(2021.6.21掲載)
2)職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(2021.5.28更新)
3)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)(第10版 2021/7/7現在)
4)企業向け新型コロナウイルス対策情報 第3回 発熱者の職場復帰時期の目安(改訂版)
産業医科大学 健康開発科学
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。
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また、動画配信も順次行っております
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これまでに配信しましたバックナンバーは、以下リンクをご覧ください
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covid-19@ohsupports.com
<この記事に関連するサイト>
企業向け新型コロナウイルス対策情報一覧|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/covid-19/
健康経営倶楽部|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/
職場で新型コロナウイルスの感染が疑われたら読むガイド|東京商工会議所(tosho antenna)
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