〜経営に役立つ情報・事例を発信するサイト〜
powered by 東京商工会議所

【デジタル・クライシス対策最前線】第5回「『バイトテロ』を防ぐには」

f:id:tosho-antenna:20210803150736j:plain

 
※本記事は、東商新聞 2021年7月20日号に掲載したコラムをWEBページ用に再編・掲載しています。


前回は昨今の炎上リスク傾向について解説した。今回は従業員にまつわるリスクを紹介したい。

■前回記事はこちら

バイトテロで顕在化した新たなリスク

2019年の初めに世間を賑わせた「バイトテロ」を覚えているだろうか。
飲食店やコンビニなどで勤務するアルバイトの学生が、勤務中の“悪ふざけ”を携帯電話で動画撮影し、SNSにアップしてしまった事件だ。
その内容は、料理を床にこすりつけたり、ゴミ箱から拾った食材を使って調理したりと、あまりに不衛生なものだった。  

この事件はネット上だけでなく多くのテレビや新聞でも取り上げられ、とある飲食店は全店休業し社員研修を行うなどの対応に迫られ、億単位の売上損失を出している。
こうして「バイトテロ」は企業にとって看過できない経営リスクとして認識された。

元々こうした行為自体はこれまでにも度々起こっている。
コンビニ従業員がアイスの販売ケースの中で寝転がった写真がTwitterで拡散された事件は、当時は“バカッター”と呼ばれて騒がれた。
他にも、従業員が自身の勤務するお店に来店した芸能人の情報を投稿してしまったり、会社の内情をネットで暴露したりと様々な形で表面化しており、その都度企業は再発防止に取り組んでいたはずだった。
それにも関わらず数年の時を経てまたもや起きてしまったわけだ。
そして、今年も同じようなバイトテロ事件が起こっている。つまり必ず繰り返されるということだ。

プライベートまで管理できない

ではどうすれば止められるのか。
結論から言うと、「企業側の管理には限界がある」ということになる。
なぜなら当人たちには悪気などなく、ただの内輪ウケを狙ったお遊びであり、自身の行為が自分の働く店舗や会社に影響を与えるなどとは一切考えていないのだ。
そうなると、従業員のロイヤリティ(忠誠心)を高めようとも意味がなく、社内研修で管理するにも限界がある。

また、勤務中に私用の携帯電話を持ち込ませないようにすればリスクは減るように思えるが、休憩時間まで禁止するというのは難しい。
実際に休憩室での動画が元となった事例もあり、やはりこうした管理にはどうしても限界がある。
もちろん何も対策をしないよりはましだが、ゼロにはならない。
近年バイトテロに巻き込まれた企業の多くが、過去の事件を受け教育などもしっかりしていたにも関わらず、事件を防げなかったことからも明らかだ。

まずできることは“自分事”の意識付け

f:id:tosho-antenna:20210803144152j:plain

できるだけリスクを軽減するためにまずするべきことは、繰り返し従業員への講習を実施しコミュニケーションを図る、社内規程や誓約書を整える、といった方法だ。

その際のポイントは「いかに自分事化できるか」。
こうした事件を引き起こした場合、被害は会社だけではなく当人にも返ってくる。

過去に事件を起こした当事者たちは、数年経った今でも“バイトテロを起こした不届き者”として、実名がネットに残ってしまっている。当人たちにとってもリスクであるということを強く認識させることが何より重要なのだ。
弁護士などの第三者から仰々しく講習してもらうとより効果的だろう。
そしてそれを年に一回は行い、継続することがリスクの軽減につながるのだ。

 

【執筆者プロフィール】
桑江 令(くわえ・りょう)

シエンプレ主任コンサルタント
デジタル・クライシス総合研究所主席研究員も兼務。


<この記事に関連するサイト>

東商新聞 デジタル版(最新号・バックナンバー)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/