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ものづくり補助金 申請のポイント

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1.ものづくり補助金とは

経済産業省の中小企業向けの補助金として10年近く継続している補助金であり、よく「もの補助」と呼ばれます。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。

中小企業・小規模事業者が取り組む、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金です。

申請類型は「一般型(補助上限額1,000万円)」「グローバル展開型(補助上限額3,000万円)」があり、「一般型」にはコロナ禍に対応するためのビジネスモデル転換に取り組む「低感染リスク型ビジネス枠」が設定されています。

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2.補助対象となる取り組み

革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善の取り組みが対象であり、単価50万円以上の設備投資等が必要となります。
例えば、製造業における生産設備更新による加工精度向上・リードタイム短縮や、フィットネスクラブにおける非対面型オンラインレッスン配信用のアプリケーションの開発などが採択事例として挙げられます。

3.申請上の留意点

申請では3年~5年の事業計画を作成します。
この事業計画では、①全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること、②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること、③事業所内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準とすることが求められています。

申請にあたり上記の①~③を全て満たす必要があり、補助金を受給した後5年間、計画目標を達成できているか報告が必須となります。
特に人件費に関する要件②と③について、目標未達時には補助金の返納を求められる可能性があるため、無理のない事業計画を作成することが重要です。

4.採択率

気になる採択率は、一般型で平均43.1%、グローバル型で平均23.9%です。
締切回により採択率は大きくバラつく傾向があります。

一般型は、例年の採択率が40%前後であったことを考えると、直近の採択率は高い水準にあるといえます。
グローバル型は、4次から募集され第1回目の採択率は17.0%と低水準でしたが、締切回を重ねるごとに採択率が上昇してきています。

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5.申請書作成のポイント

ものづくり補助金の審査項目は、大きく分けて、①技術面、②事業化面、③政策面、④加点・減点項目に分けられます。
この中で①、②が大きな比率を占めることから、それぞれのポイントについて解説します。

①技術面

まずは「自社の製品・サービスの特徴や強み」を記載しましょう。補助金申請書の審査者は、あなたの会社のことを知りません。
続いて今回の取り組みにおける「技術的課題」が何であるのかを具体的かつ定量的に示します。
ものづくり補助金において、この「技術的課題」の特定が非常に重要となりますので、参考例を以下に示します。

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この後は「技術的課題」の解決に向けてどのように取り組むのか(この中に設備投資やシステム開発が含まれる)、現状の水準からどの程度まで改善を目指すのか(定量的な指標や目標を示すことが必須)、結果的にどのような成果が期待できるのか(Q:品質、C:コスト、D:納期などの切り口)を記載していきます。

②事業化面

次いで上記①の課題解決の取り組み成果(例えば、加工精度を高めるために生産設備の更新を実施。加工精度を現状の10μmレベルから1μmまで高精度化を実現)をどのように事業化・収益化していくかを記載します。

そのためには取り組み成果が寄与する具体的な市場を明確化し、ユーザーに受け入れてもらえること(需要があること)を示します。

競合他社に対する優位性をどの程度高めることができるのか、裏付けを示しながら記載しましょう。

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これらの事業化・収益化に向けた取り組みを具体的な数値で示します。
「売上が300万円増加する」という記載ではなく、さらに踏み込んで「単価30万円の案件を10件受注することで年間売上が300万円に達する」と示すことが重要です。
単価・数量の内訳を示すことで、審査者は実現可能性の有無を判断しやすくなります。

6.客観性とバランス感が大事

補助金申請書は、時間をかけて作り込むほど「独りよがり」になる傾向があります。
これは補助事業での取り組みを企画立案し、内容を理解している人(経営者、事業担当者)だけで申請書を作成する場合にたびたび起こります。

取り組みの内容がどれだけ優れていても、第三者(申請書の審査員)の客観的な理解や納得感を得ることができなければ採択にはつながりません。
つまり「わかる人にはわかる」では採択につながりにくく、「誰が読んでもわかる」申請書を作成することが重要です。

また、技術に精通した方が作成する場合、技術面について過度に専門的な記載となっているケースが散見されます。
申請書は学術論文でありませんので、技術面だけでなく、事業化面(補助事業の成果を活用していかに収益化するか)についてもバランス良く記載する必要があります。

これらを第三者的な視点からチェックする方法として、外部専門家を活用することが効果的です。
公的な経営相談窓口などで、補助金や事業計画に関するアドバイスを受けることが可能です。

専門家に相談することで「補助金ありき」の設備投資となっていないか、設備投資の収益性や投資回収期間などについても助言を求めることで、会社にとって本当に必要な設備投資であるか再確認する機会にもなります。

<参考>東京商工会議所の相談窓口はこちら
認定経営革新等支援機関業務 | 経営相談|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/nintei/

ビジネスサポートデスク|経営相談|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/bsd/

 

尾崎 佳貴(おざき よしたか)
【執筆者プロフィール】
尾崎 佳貴(おざき よしたか)

中小企業診断士

<略歴>
電力会社にて技術営業、人事、燃料調達を経験。
独立後は、事業計画策定及びその実行支援、補助金活用を通じた経営支援を行う。
株式会社アルファコンサルティング 代表取締役、一般社団法人台東区中小企業診断士会 理事副会長。

 

 

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