東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。
(※)本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。
※本内容は2021年6月25日に配信されたものです。
経営者・総務人事担当者のみなさま、職場の感染対策は万全でしょうか?
今回は「新型コロナウイルス感染症の症状が1つでも出た場合に取るべき行動」について述べたいと思います。
1.課題の背景
「具合が悪い時は出勤を見合わせる」といったことは職場の感染防止策の基本的かつ重要な取り組みの一つですが、必ずしも守られていないことを第29回配信「職場内外で避けたい感染リスクの高い行動」で書かせて頂きました。
※第29回記事
中には「下痢が続いているが、熱はないから出勤して大丈夫だろう」と考える方もいるかもしれません。が、それが新型コロナ感染症による症状である場合もあります。
職場の集団感染リスクの低減を図るためにも、新型コロナウイルス感染症の症状と、一つでも症状があった場合に取るべき行動につき、今一度、従業員に周知徹底を図りましょう。
2.事業所でできる対策
(1)新型コロナウイルス感染症の症状につき理解する
(2)症状が1つでも出た場合に取るべき行動を従業員の一人一人に周知徹底する
(1)新型コロナウイルス感染症の症状につき理解する
「具合が悪いのに無理をして出勤してしまう」行動は、コロナ禍においては職場の集団感染につながりかねず、職場としては従業員に避けてもらいたいことの一つかと思います。
しかしながら、自分の具合が悪い状況が新型コロナウイルス感染症による症状かもしれないと結び付けて考えることができず、具合が悪いのに出勤してしまう従業員もいるかもしれません。
新型コロナウイルス感染症の症状を正しく理解することは極めて重要と言えます。
新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1~14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4~5日で発症します。
新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ており、以下に示すような症状が見られることが多いです。
「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀ですが、それ以外の症状は区別が難しそうなことが分かります。
<新型コロナウイルス感染症の症状>
- 咽頭痛
- 咳
- 息切れ・息苦しさ
- 熱・寒気
- 筋肉痛・関節痛
- 嘔吐・下痢
- 味覚や嗅覚の消失
新型コロナウイルス感染症に特徴的なのは、その経過です。
特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。
流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人は発症7日目前後から徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります(下図)。
出典:忽那賢志「症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは? 現時点で分かっていること(2021年5月)」
以下、重症化のサインとなる症状を示します。
<新型コロナウイルス感染症・重症化のサイン>
- 呼吸困難
- 持続する胸痛や胸の圧迫感
- 錯乱
- 意識消失
- 顔や爪が蒼白や紫色になる
(2)症状が1つでも出た場合に取るべき行動を従業員の一人一人に周知徹底する
新型コロナウイルス感染症の症状や重症化のサインがみられた場合、どのような行動をとるべきなのでしょうか。
まず前述の症状が1つでも出たら、出勤・外出や人と会うことを避け、医療機関の受診を検討しましょう。
なお、受診の際は事前に電話連絡をすることが必要です。
また、重症化のサインにあげた症状があったらすぐに医療機関に相談しましょう。
従業員の一人一人がこれらの行動について共通の認識を持つことも、職場の集団感染リスクを低減していくのに非常に大事な要素となります。
今一度、従業員への周知徹底を行いましょう。
米国疾病対策センター(CDC)の「Symptoms of Coronavirus(COVID-19)」ポスターを参考に、厚生労働科学研究費補助金「新型コロナウイルス感染症に対する疫学分析を踏まえたクラスター対策等の感染拡大防止策に関する統括研究」(分担研究者:和田耕治)の助成で「新型コロナウイルス感染症の症状」がポスターにまとめられました。
資料はOHサポート株式会社・企業向け新型コロナ対策情報にも掲載しております。
ぜひこのポスターも活用しながら、従業員の一人一人に対して1つでも症状が出た場合に取るべき行動つき周知徹底していきましょう。
OHサポート株式会社 代表・産業医
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。
本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
また、動画配信も順次行っております
https://www.youtube.com/channel/UC4lRPnKfYPC6cT1Jvom5VbA
これまでに配信しましたバックナンバーは、以下リンクをご覧ください
http://www.oh-supports.com/corona.html
※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
covid-19@ohsupports.com
<この記事に関連するサイト>
企業向け新型コロナウイルス対策情報一覧|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/covid-19/
健康経営倶楽部|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/
職場で新型コロナウイルスの感染が疑われたら読むガイド|東京商工会議所(tosho antenna)
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