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【デジタル・クライシス対策最前線】第4回「炎上リスクのトレンドを押さえる」

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※本記事は、東商新聞 2021年6月20日号に掲載したコラムをWEBページ用に再編・掲載しています。


前回はデジタル・クライシスのリスクへの向き合い方について触れたが、今回は昨今のリスク傾向について説明する。

■前回記事はこちら

世界的な潮流はコロナ分断・ジェンダー・人種差別

新型コロナウイルスに関連する様々な事象に対して、ネット上で対立構造が生まれ、議論が巻き起こってきた。
「自粛推奨派」と「経済重視派」とでも言える対立だが、同時に経済格差による強者と弱者の間でも対立が起きている。
“経済的な強者”と見なされる著名人や企業の発言や投稿は、本人の意図や本来のニュアンスから切り離されて独り歩きし、時には誤解や偏見も加わって「まさか」という思いも寄らない反応が生まれる。
そしてその炎上騒ぎを見て「ざまあみろ」といった反応すらなされるのだ。
この分断は本当に深刻だ。

企業のCMやポスターが「不謹慎だ」「〇〇蔑視だ」と批判を受けているケースに、覚えはないだろうか。
著名人の投稿に批判が殺到、というニュースもよく目にするはずだ。
個人が気軽に呟ける匿名のSNSだからこそ、過剰なまでの反応が後を立たず、一度火がつくと多くの人が参加してエスカレートし、“ネットリンチ”の状態に陥ってしまう。
これがSNSの無法地帯ぶりを示していると言える。

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同時に、最近の世界的な潮流としては、女性蔑視やLGBTQ+に代表されるジェンダー関連や、「Black Lives Matter」に代表される人種差別関連も忘れてはならない。
この二つのテーマにおいて、旧来のような意識で行動していては大きなリスクにさらされるということは、ここ数年の大企業での“ジェンダー炎上”でも指摘されており、最近世間を騒がせた五輪関連の話題でもより明らかになっている。

消費者からもマスコミからも注目されている今の状況下においては、誰にでも炎上リスクはあるということだ。
地方の町や村の議員の発言、さらには校長先生の発言であっても、即座にメディアに取り上げられることが証明している。

クリエイティブチェックの重要性

このような状況だからこそ、企業側が発信する情報や制作物にも、炎上リスクが存在し得ると言える。
こだわって作った企画やクリエイティブ(CMなどの動画、チラシやポスターなどの紙媒体、ホームページやネット広告での画像・キャッチコピー)であればあるほど、当事者では気付けないリスクが隠れているのだ。
何事にも第三者のチェックが有効なように、今のこのご時世は企業が発信するクリエイティブはもちろん、公式SNSアカウントの投稿一つにおいても、炎上リスクをチェックすることが望ましい。

それでは、チェックする際にはどのような視点が必要なのだろうか。
法律に関連するような内容はこれまで通りのリーガルチェックは必要だが、それとは別にここで必要になるのはあくまで“ネット炎上”を防止するための視点だ。
今すぐ導入できる方法は、企画や制作に携わっていない社内の第三者が先入観の無い目でチェックすること。
その際は年代や性別といったセグメントを分けて複数のメンバーの目を通すことが望ましい。
また、前回触れたように、普段からSNSでの炎上ネタにアンテナを張り、事例を収集しておくことが必要だ。

 

【執筆者プロフィール】
桑江 令(くわえ・りょう)

シエンプレ主任コンサルタント
デジタル・クライシス総合研究所主席研究員も兼務。


<この記事に関連するサイト>
東商新聞 2021年6月20日号(7面に掲載)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/file210620_5-8.pdf
東商新聞 デジタル版(最新号・バックナンバー)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/