東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。
(※)本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。
※本内容は2021年5月25日に配信されたものです。
企業の経営者・担当者のみなさま、海外駐在者の新型コロナワクチン接種について、できるところから準備を進めましょう。
1.課題の背景
国内在住者の新型コロナワクチンの接種は、原則として居住する市町村ごとに管理され、接種券が送付されます。一方、海外在住の方については、そのままでは国内の接種券が送付されないほか、国・地域によって事情が異なります。
現地で受けるか、日本に一時帰国するかなど悩むことが想定され、まだ不確定な事項も多いのですが、今回は2021年5月22日時点で入手可能な情報に基づき紹介します。
2.企業でできる対策
(1)滞在地での新型コロナワクチン接種を検討する
(2)医療事情を含む生活環境が厳しい場合、日本への一時帰国を検討する
(3)予防接種を受けたらそのつど記録し、いつでも参照できるようにしておく
(1)滞在地での新型コロナワクチン接種を検討する
<POINT>
- 滞在地で外国人住民を対象とする新型コロナワクチン接種を検討する。
- ワクチンの種類を選べる場合は、日本でも承認されているワクチンを優先的に選ぶ。
日本貿易振興機構 (JETRO) ビジネス短信の添付資料によると、多くの国・地域で在留外国人を含む住民を対象に、無料または安価の新型コロナワクチン接種機会が準備されています。
日本でも各市町村は在留外国人を含む住民全員に接種券を送付し、希望者は無料で接種を受けることが可能です。
一方、日本国籍を持っている人で、海外転出届を提出して日本国内に住民登録されていない場合、今のところ国内の接種券は自動的に送られてきません。
日本に一時帰国しての予防接種を希望する場合、実家などのある市町村で対応できるか個別に相談する必要があります。
現在滞在している国・地域で日常生活に大きな支障がなく、新型コロナワクチン接種の機会が得られる見込みが立つのであれば、現地での接種が第一選択となるでしょう。
国・地域によって事情は様々ですが、もしワクチンの種類が選べるなら、
(1)日本でも承認されているワクチン
(2)日本では承認されていないが世界保健機関 (World Health Organization: WHO) の緊急使用リスト(Emergency Use Listing: EUL)には載っているワクチン
の順番が無難と考えられます。
現在EULには日本で承認された3種類を含む7種類のワクチンが載っています。
そのうち2021年2月15日発効の2種類は日本でも承認されたアストラゼネカ製ワクチンと同じもので、製造拠点が異なります。
■WHOの緊急使用リスト(EUL)に載っている新型コロナワクチン
(2)医療事情を含む生活環境が厳しい場合、日本への一時帰国を検討する
医療事情を含む生活環境に大きな影響がある場合は日本への一時帰国を検討する必要が生じます。
最近では5月2日に外務省がインドの在留邦人へ一時帰国の検討を呼びかけるスポット情報を出しました。新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に伴い医療提供体制が逼迫し、他の病気やけがを含む通常の医療が受けられない可能性が高まっていることが理由です。
また、医療提供体制の逼迫は一時帰国希望者の搭乗前PCR検査にも影響を及ぼすおそれがあることから、在インド日本国大使館では、日本への航空便の情報と併せて搭乗前PCR検査の会場や申込方法についても案内しています。
(3)予防接種を受けたらそのつど記録し、いつでも参照できるようにしておく
- ワクチンの種類、接種部位、メーカー、ロット番号、接種年月日、接種した医療機関等を一覧できる形で記録する。
- 日本国内で接種したときもできるだけ英語で記載する。
新型コロナワクチンを含む各種の予防接種を受けたら、そのつど記録してもらうようにしましょう。
小児期までの予防接種は母子手帳に記録欄があります。成人向けには国立感染症研究所が「成人用予防接種記録手帳」のPDFファイルを配布しており、新型コロナワクチンと従来使われているワクチンの種類、接種部位、メーカー、ロット番号、接種年月日、接種した医療機関等を記録できます(<関連情報リンク>(4)参照)。
これらの情報は、国・地域によって、入出国の手続きや学校の入学手続きなどの場面で提示を求められることがあります。
日本国内で接種したときも、できるだけ英語で記載してもらうようにしましょう。
<関連情報リンク>
1)「海外主要国・地域の新型コロナワクチン接種状況、在留邦人も段階的な接種進む」日本貿易振興機構 (JETRO) ビジネス短信 (2021年5月7日)
2)日本への帰国・再入国のためのPCR検査及び日本への臨時便の運航について (在インド日本国大使館 領事メール 2021年5月8日)
3)WHO緊急使用リスト (2021年5月7日、英語)
4)国立感染症研究所 成人用予防接種記録手帳
産業医科大学 産業精神保健学
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。
本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
また、動画配信も順次行っております
https://www.youtube.com/channel/UC4lRPnKfYPC6cT1Jvom5VbA
これまでに配信しましたバックナンバーは、以下リンクをご覧ください
http://www.oh-supports.com/corona.html
※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
covid-19@ohsupports.com
<この記事に関連するサイト>
企業向け新型コロナウイルス対策情報一覧|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/covid-19/
健康経営倶楽部|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/
職場で新型コロナウイルスの感染が疑われたら読むガイド|東京商工会議所(tosho antenna)
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