写真提供:NHK
熱き心で挑戦を続けた東商初代会頭・渋沢栄一の生涯を描く
大河ドラマ『青天を衝け』 特別インタビュー
大河ドラマ『青天を衝け』は東商の初代会頭・渋沢栄一翁が主人公。いよいよ栄一とのちの将軍・徳川慶喜の人生が交わり、物語は大きく動き始めます。憑依型の演技が高く評価される草彅剛さん(慶喜役)に、撮影の合間にお話を伺いました。
くさなぎ・つよし
1974年生。埼玉県出身。俳優、歌手、ナレーションなど幅広く活躍。2021年『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。大河ドラマの出演は17年ぶり。
徳川慶喜役のオファーをいただいたとき、「“最後の将軍”というのはどんな感じだろう?」と興味を持ちました。時代を切り拓いた有名な将軍はたくさんいます。何かを始めることは希望に満ちて、ドキドキワクワクしますよね。でも最後はどうでしょう。「終わりの美学」みたいなものがあるんじゃないか。
演出の黒崎博さんとの最初の打合せで、「慶喜はつかみどころがないような感じがいいのではないか」という話をしました。令和の世に生きている僕らは、のちに慶喜が将軍になることを知っています。けれどドラマの中の慶喜は葛藤が見え隠れするつかみどころのない感じで、視聴者のみなさんが「もしかしたら、このドラマでは慶喜は将軍にならないのではないか」と感じるぐらい力の抜けた役どころとして狙って演じていこうと思っています。
僕は歴史に詳しいほうではないし、慶喜という人のことをあまり知りません。でも、そのくらいのほうがいいだろうとも思っています。撮影はとても楽しいし、なかなか手応えがあります。
大河ドラマはキャストもスタッフも多く、撮影も贅沢で、時間とお金をふんだんにかけている印象です。スタジオのセットもすごい奥行きです。馬を入れて撮影することもあるほどで、一瞬現実を見失いそうになります。そんなスケール感に自分が負けないように、ただ馬に乗せられている、ただ衣裳を着せられているだけでなく、地に足を着けてしっかりとした心持ちで撮影に臨みたいですね。
格式の高い衣裳を着せていただくと重みがズシリときます。また豪華な装飾を施した甲冑を着けていただくこともあり、油断して歩くとフラフラするほどの重みです。でも将軍ですから(笑)。いつもよりもドンと構えていようと思っています。

ーこれから劇中で慶喜と栄一の人生が交わっていきます。慶喜は栄一のどこに信頼を置いたと思われますか?
慶喜は側近の平岡円四郎にとても心を開いています。はじめは、その円四郎が見いだした男が栄一であったということが大きいでしょう。慶喜は立場上、周りの誰もから必要以上に気を遣われるのですが、円四郎と栄一に限ってはそうではありません。栄一には、心から人の幸せを願い、人々が喜ぶ世にしたいという熱意があり、それを自分にストレートにぶつけてくる。それが彼に惹かれていくポイントではないかと思います。
長い間慶喜を演じさせていただくわけですが、戦や争い、暗殺、天災などで、周りにいる人がどんどん亡くなります。亡くなった役の方は、みなさん撮影に来なくなってしまうんですよ。それがあっけなくて悲しくて。昨日まで一緒に熱く撮影していたのにその後劇中で斬首され、前触れもなく会えなくなったり。また、劇中で「三百何人、やられてしまいました」と聞き、これが実際にあったことだと改めて感じたり。そういう悲しい争いがあって、今日に至っているという歴史の重みを、撮影が進むうちにキャストが現場に来なくなることでリアルに感じる日々です。展開が目まぐるしくもあり、これが大河ドラマなのだと実感しています。
■ストーリー
幕末から明治を駆け抜けた実業家・渋沢栄一。農家に生まれた栄一は、幕末の動乱期に尊王攘夷思想に傾倒する。
しかし、最後の将軍・徳川慶喜との出会いで人生が転換。やがて日本の近代化に向けて奔走していく…
■主演:吉沢亮 作:大森美香 音楽:佐藤直紀 題字:杉本博司
■放送予定 毎週日曜日 総合 午後8時/ BSプレミアム・BS4K 午後6時
(再放送) 毎週土曜日 総合 午後1時5分
大河ドラマ『青天を衝け』公式サイト https://www.nhk.or.jp/seiten/
※本インタビューは、東商新聞5月20日号(9面)に掲載されています。
紙面でもぜひご覧ください!
<この記事に関連するサイト>
渋沢栄一 特設サイト|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/shibusawa/
東商新聞デジタル版|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/