写真提供:NHK
熱き心で挑戦を続けた東商初代会頭・渋沢栄一の生涯を描く
大河ドラマ『青天を衝け』 特別インタビュー
2月14日から始まった大河ドラマ『青天を衝け』は、東商の初代会頭であり、日本の近代化に尽力した“日本資本主義の父”、渋沢栄一翁が主人公。栄一の従兄・渋沢喜作を演じる高良健吾さんに、意気込みや見どころ、栄一や喜作の魅力などを伺いました。
こうら・けんご
1987年生。熊本県出身。05年ドラマ『ごくせん第2シリーズ』で俳優デビュー。 06年『ハリヨの夏』で映画初出演。大河ドラマは2度目の出演となり、15年『花燃ゆ』では高杉晋作を熱演した。
『花燃ゆ』で幕末に命を落とした人間を演じた経験があるから余計に、幕末の志士には自分の信念を最後まで信じて行動する美学や潔さ、格好良さがあると感じます。ただそのために若くして志半ばで命を落とす人が多かった。そのような中で渋沢栄一の先見性には目を見張るものがあります。「どうすればこの国はよくなるのか」ということを考え、さらにその先の「それが何のためなのか」「誰のためなのか」ということまでも見極められる彼の才能に強く惹かれました。
栄一は、自分の真ん中にあるものを大切にしながらも状況に応じて立ち位置を変えることができる。でも変えることは裏切りではなく、たとえ周囲から裏切りだと思われたとしても、その先にある信じるものを最後まで信じられる強さは大きな魅力です。そんな栄一の近くにいたからこそ、僕が演じる渋沢喜作も生き延びられたのではないでしょうか。
大河ドラマの面白さは、長丁場でひとつの役を演じ切ることだと思います。初めて画面に登場した瞬間は、まだ視聴者の皆さんがご存じの人物像ではないかもしれません。もちろん根底に流れるものは同じですが、まだ何者でもない素の状態です。それが様々な出来事を経て、皆さんが知るところの人物そのものになっていきます。まだ何者でもない青年から、志を持った人間へ、その成長を演じ分けていくのも俳優としての醍醐味ですね。
喜作は栄一よりも二つ年上の従兄です。自分は兄貴分で栄一は弟分と言っているものの、威張ったところはなく、逆に喜作が栄一に甘えている節もすごく感じるので、そういった部分も意識しています。僕らの最初の出演シーンは栄一が13歳、喜作が15歳でしたので、主役の吉沢亮くんとも「とにかく最初はワチャワチャやろう」と話しながら演じました。はじめは勢いだけだったふたりが、だんだん言葉に説得力を持つようになる。やがて国のために動いて行くにつれて、ふたりの関係性も変化していく様がだんだん切なくなったり、頼もしくなったりするはずです。
喜作は、とにかくまっすぐで国を想う力が強い。これは栄一をはじめ、惇忠兄、長七郎、平九郎など血洗島(現在の埼玉県深谷市)にいる渋沢一族全員に共通した魅力だと感じています。
コロナ禍の今、多くの人が世の中に対して、言えない何かを胸に秘めたり、何かを我慢していることがあるのではないでしょうか。「自分が行動するだけでは何も変わらない」と思う方も多いかもしれません。でも、このドラマの登場人物たちは、今ほど情報もないところで、この国のためを想って、良いほうに変えようと行動します。残念ながら多くの命が亡くなり、過激なことも起きますが、世の中は変わっていきました。その模様を描いた『青天を衝け』は、コロナ禍で我慢を強いられながら生活している視聴者の皆さんに、エールを送るような、励みになるようなドラマになり得るのではないかと思います。どうぞご期待ください。
■ストーリー
幕末から明治を駆け抜けた実業家・渋沢栄一。農家に生まれた栄一は、幕末の動乱期に尊王攘夷思想に傾倒する。 しかし、最後の将軍・徳川慶喜との出会いで人生が転換。やがて日本の近代化に向けて奔走していく…
■主演:吉沢亮 作:大森美香 音楽:佐藤直紀 題字:杉本博司
■放送予定 毎週日曜日 総合 午後8時/ BSプレミアム・BS4K 午後6時
(再放送) 毎週土曜日 総合 午後1時5分
大河ドラマ『青天を衝け』公式サイト https://www.nhk.or.jp/seiten/
※本インタビューは、東商新聞3月20日号(9面)に掲載されています。
紙面でもぜひご覧ください!
<この記事に関連するサイト>
渋沢栄一 特設サイト|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/shibusawa/
東商新聞デジタル版|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/