2020年は新型コロナウィルスによって、ビジネス環境が大きく変わりました。
その中で「営業」のやり方も大きく変わりました。
本日はいま注目されている「オンライン営業」について、お話させて頂きます。
1.オンライン営業とは?
そもそもオンライン営業って何でしょうか?
オンライン営業とは、直接企業に訪問せず、アプリなどを使ってオンライン上で営業を行う方法です。
本やネット上では、リモート営業やオンライン商談など、様々な呼び方があります。
新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、直接対面する営業スタイルが敬遠され、今年注目を浴びました。
2.オンライン営業のメリット・デメリット
では、オンライン営業のメリットは何でしょうか?
ここでは代表的なメリットを3つご紹介します。
①移動コストはかからない
対面営業の場合、1日の中で移動時間が大きなウェイトを占めますが、オンライン営業の場合、PC上で営業するので移動時間や移動コストがかかりません。
残業が減り、働き方改革にもつながった例が多数見られました。
②遠方や海外との顧客とも商談可能
距離の概念がなくなるために、移動しなくてもすぐ商談ができるようになります。
私は今年、沖縄や北海道、山梨の顧客と一度も対面せず、営業からクロージング、さらにコンサルティングを完了させることができました。
③1日の商談数が増える
移動時間が圧縮されるため、新規商談に時間を投下できるようになります。
あるIT企業の事例では、1日の商談数が2~3件程度だったのが、6~7件程度に増加したケースが見られました。
ではオンライン営業のデメリットは何でしょうか?
こちらも代表的なデメリットを3つご紹介します。
①熱意や感情が伝わらない
PC画面越しに話すので、どうしても営業側の熱意や感情が伝わりづらくなります。
②信頼関係を構築しづらい
対面ではないため、相手の本音が掴めず、信頼関係を構築することが難しいという意見をよく聞きます。
③事前準備に時間がかかる
雑談には向かず、どうしても形式ばった商談になりがちです。
よって事前の段取りを整えないといけません。
いきあたりばったりは通用しないのです。
こうしてメリット・デメリットを見ると、時間を効率的に活用できる代わりに、顔をみせるとか、熱意をみせるという、従来の営業スタイルが通用しなくなったことがわかりますね。
3.オンライン営業の必要な環境とは?
では実際オンライン営業をはじめるために必要な環境は何でしょうか?
必要なものを以下に列挙しておきます。
①オンライン営業用のアプリケーション
まずお客様と商談するためのアプリケーションが必要になります。
最もポピュラーなのが「Zoom」です。
相手はアプリインストールが必要なく、無料版もあるのでまずは「Zoom」から始めるのをお勧めします。
②オンライン営業用の機材
まずPCのカメラが付いていない場合、別途カメラを購入しなければなりません。
また別売りマイクを購入すれば相手側も音声が聞きやすくなります。
さらに表情を明るくしたい場合は、別途照明を用意することも検討しましょう。
③オンライン営業用の資料
オンライン上で営業を行うので、対面営業のように資料を実際お見せすることはできません。
よって、PC上で「画面共有」という機能を使って資料を説明します。
そのためには、会社案内、商品・サービスのPRチラシ、提案書はデータ化し、自社ホームページやPR動画(ユーチューブ限定動画など)も画面上で見せられる準備をする必要があります。
④オンライン営業に必要な場所
オンライン上の商談なので、相手の音声に集中するため、静かな場所を確保する必要があります。
周りが騒がしいとなかなか込み入った話がしづらくなります。
4.オンライン営業の手順・流れとは?
ではここからは、オンライン営業の手順・流れを説明します。
①オンラインの接続作業
円滑に相手側とつなげられるように準備をしておく必要があります。
そのためにも接続方法(アプリケーションの種類など)を事前に相手に告知しておく必要があります。
②アイスブレイク
接続したら、いきなり要件に入るのではなく、気候の話や時事ネタなどで緊張した空気を和ませましょう。
③冒頭に商談の流れを説明
今日の商談の目的、終了予定時間、商談の流れを伝えましょう。
一方通行の商談にならないように質疑応答の時間も確保しましょう。
④会社概要説明
先ほどご説明した通り、「画面共有」機能を使って、データ上で説明できるように準備をしておきましょう。
⑤仮説される相手企業の経営課題(ニーズ)
顧客の困りごとを3つ程度考えていきましょう。
ここがこの後の商談の盛り上がりを左右するといっても過言ではありません。
⑥当社からの提案
顧客の困りごとに対して、当社の提案を行いましょう。
あくまでも困りごとへの解決策案として提案しましょう。
⑦実績説明
今回の顧客の困りごとについて、当社内にある事例を紹介しましょう。
⑧ Q&A
相手から質問事項などが多く出てくるとより関心が高まり商談が進んでいくことが多いので非常に大事な時間です。
「●●様はどう思われますか?」「ご意見お聞かせください。」など具体的に意見を求めたほうがいいでしょう。
オンライン上では細かいニュアンスは伝わりづらいのではっきり聞くのがお勧めです。
⑨今後のアクション
今後のスケジュールやアクションを説明します。
以上がオンライン営業の手順になります。
一度オンライン営業を行う前に、事前シナリオを作成することをお勧めします。
5.オンライン営業成功の秘訣
① 1件の商談に対して十分な準備を行う
オンラインの場合、段取りの悪さがひときわ目立ちます。
事前のシナリオづくりは念入りに行いましょう。
また接続作業や画面共有などの操作も事前に何度も練習しておきましょう。
②資料をそろえておく
商談時に活用する資料はすぐに「画面共有」できる準備をしておきましょう。
必要書類は、商談後すぐ相手にデータで送れるようにしたいです。
⓷ロールプレイングを行う
本番でも焦らず落ち着いてできるようにするため、念入りにやっておきましょう。
もちろんリアルでやるのではなく、オンライン上でロールプレイングを行うのがお勧めです。
以上、今日はオンライン営業の基礎的なお話をしました。
自社の営業に大きなメリットがある手法なので、まだ始めていない事業者はぜひチャレンジしてみてください。
最後に、このオンライン営業は、「慣れ」が必要です。
いきなり大きな商談にオンライン営業を採用するのではなく、まずは既存のお客様との定例打合せなど、多少失敗してもダメージの少ない場面から始めてみましょう。
私はすべての対面営業をやめることは推奨しておりません。
対面営業とオンライン営業をうまく併用して、ご自身の会社の営業力を強化してください。
東商では、ITに関する相談窓口として「はじめてIT活用」相談ダイヤルを設けています。是非、お気軽にお問合せください。

株式会社中小企業営業支援 代表取締役
中小企業診断士
1973年大阪府泉南市生まれ。大阪府立岸和田高校、関西学院大学経済学部卒業。
大手アパレル、営業代行会社、営業コンサルティング会社等で約10年以上法人向け営業責任者を歴任。
2014年4月独立。2018年4月法人化。
中小企業の最も重要な課題である販路開拓、営業強化において具体的な実行支援を得意とする。
独立6年で約300社以上の経営支援実績がある。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会認定トレーナー
一般社団法人イマココラボ2030SDGs公認ファシリテーター
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