東京商工会議所は、中小企業委員会において、標記調査結果をとりまとめました。
中小企業委員会では、会員企業の経営実態に即した支援策の実現を目指し、例年、「中小企業対策に関する重点要望」を国、東京都をはじめ関係方面に提出しています。
本調査は、新型コロナウイルスによる影響をふまえ、中小企業が抱える経営課題を検証し、要望事項のとりまとめに供するため、23区内中小企業・小規模事業者を対象に実施したものです。
売上・収益の状況
〇2020年3月~5月(緊急事態宣言発令前後)は、68.6%の企業で前年同期比の売上が減少。特に販売・受注量の落ち込みが大きく、68.3%の企業で減少している。
2020年6月~8月(緊急事態宣言解除後)も売上や販売・受注量が減少した企業の割合は大きく変わっていない。
〇収益(経常利益)については、黒字割合が直近決算期(前期)55.1%から今期見通しでは27.5%と約半減。
一方で、赤字割合は23.9%から40.3%と著増している。
〇9割以上の企業が何らかの影響を受けており、「商談や営業活動への支障」「イベント・展示会の中止・延期」等売上に直結する内容が多い。また、「国内取引先の休業・廃業・倒産」も20.7%にのぼっている。
【本年3月以降、新型コロナウイルスによる企業活動への影響について】(※複数回答可)
〇「新たな販路開拓・取引先拡大」や「新製品・新サービスを開発」「異業種へ参入」など約4割の企業が業況回復に向けて新たな取り組みを実施している。
【本年3月以降、新型コロナウイルスによる影響を受けて貴社で新たに開始した取り組み】(※複数回答可)
経営資源
〇ウィズ・アフターコロナを見据え、デジタル活用を経営で重視すると回答した企業は45.7%にのぼっている。
【ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた経営で重視する点】(※)上位3つまで回答
〇人員が「不足している」と回答した割合は35.1%で、前年度調査の51.8%と比べて人手不足感は一時的に大きく後退している。
【貴社の人員の過不足状況について】
〇大企業との取引のある企業のうち48.2%が何らかの問題・課題を感じており、具体的な内容として最多となったのが「新型コロナウイルスによる業況悪化のしわ寄せ」で23.0%であった。
【大企業との取引において、貴社が問題・課題と感じるもの】(※複数回答可)
※()は2019年度
〇全体の66.2%が本年3月~8月に借入を行っている。
【借入金について、本年3月~8月の状況】
〇全体の31.8%が今後1年間のうちに「借入を行う予定がある」と回答している。
【借入金について、今後1年間の予定】
※()は2019年度
〇現在のコロナ禍が継続した場合、今期見通しが赤字の企業の約半数が半年以内に資金繰りに影響が出る。
【現在のコロナ禍が継続した場合、どの程度で資金繰りに影響が出るか】
〇全体の4割以上の企業が今年または来年の設備投資を実施(予定)している。
ITの利活用
〇ITツールを活用している企業は47.0%と前年比8.7ポイント減。一方で、「今後活用するつもりである」が24.4%と前年比5.1ポイント増。今期の収益見通しが良い企業ほど、ITツールを活用している割合が高い。
【ITツールの活用状況について】
〇ITツールを活用している小規模企業は、中規模企業と比べて「小規模IT事業者」へ相談する割合が高い。
【ITツールの活用にあたって相談・支援を受けている先】※複数回答可
東京商工会議所では、企業の皆さまの声をもとに、国や東京都に対して要望活動を行っています。
今後も、企業の実態を踏まえた要望活動を行ってまいりますので、ご意見がございましたら、下記リンクからお寄せください。
<「中小企業の経営課題に関するアンケート結果」詳細はこちら>
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1023529
<東京商工会議所の「意見・要望書」一覧はこちら>
https://www.tokyo-cci.or.jp/president/proposal/
<ご意見はこちらからお寄せください>
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/opinion/