〜経営に役立つ情報・事例を発信するサイト〜
powered by 東京商工会議所

【テレワークにおける労務管理とマネジメント】第3回「テレワークにおけるマネジメントと意識改革」

f:id:tosho-antenna:20201207101309j:plain


テレワークの導入によって、目の前にいない部下をマネジメントする難しさや、これまでとやり方を変えていかざるを得ないという声が聞かれます。
テレワークにおいても社員のモチベーションが維持され、さらに向上しながら、会社の業績を上げていくことが理想です。

まず始めに、「若手社員のモチベーションが維持され、若手社員の離職率が低い部門のマネージャー」と、「若手社員の離職率が高い部門のマネージャー」の行動調査をご紹介します。

部下のやりがいがあり離職率が低い部門のマネージャー

・部下が自助自走できるよう「部下の力を引き出し、育てるマネジメント」を実践しており、「自らの行動を客観的に振り返り、新たな技術を学び続ける謙虚な姿勢」がある。

・若手社員の離職率が低い。

部下のやりがいが低く離職率が高い部門のマネージャー

・タスクを指示して管理するトップダウン型のマネジメントスタイルをとっており、部下の離職率が相対的に高く、チームとして成果を中長期的に発揮し続けることが難しい。

(出典:日本テレワーク協会2020年7月1日プレスリリース「働き方の未来特別研究プロジェクト」を参考に加筆修正)

f:id:tosho-antenna:20201202151128j:plain

上司と部下のコミュニケーション

内閣府の調査では、テレワークで生産性が落ちたとの回答が約半数を占めていますが、一因は上司と部下のコミュニケーション不全だと考えられています。
アデコが管理職と一般社員を対象に2020年7月実施した調査によると、テレワークで部下とのコミュニケーションが減ったとの回答が約4割に上がりました。

具体的には、「チーム間でのコミュニケーション不足」「部下とのコミュニケーション不足」「部下の仕事ぶりが分からない」などがあがっています。
部下側も「上司とのコミュニケーション不足」「さぼっていると思われないか」など、上司と部下双方の不満がうかがえます。

<改善策>
個々に違いはあるものの、タイプとして40~50代の方では、「自分から積極的に上司に話しかけるべき」「直接の対話でこそ真意がくみ取れる」と考えている方が多いかと思いますが、30代より下の世代は、積極的に上司に話しかけることは苦手と感じる方も一定数おり、対話よりLineなどのチャット等でのコミュニケーションのほうが話しやすく慣れている方も多い印象です。

テレワークでこそチャットツールを積極的に活用し、上司から部下へ「〇〇の業務進捗どう?」と話しかけていくことが円滑なコミュニケーションのコツかもしれません。

他社のマネジメント改革

2020年9月15日の日本経済新聞朝刊にて、中西金属工業(株)という会社が、「テレワークの広がりの中に次世代につながる人材育成」というテーマで、マネジメント力改革について報道されています。

※参考(2020/10/19の記事参照):新着情報|中西金属工業株式会社(NKC) 


この報道を見た方がSNSで「当社の管理職はテレワークだと部下の様子が見えないから分からないと諦めているが、この会社は試行錯誤奮闘している様子が分かり好感がもてる」など投稿しているのも目にしました。

昨今では、「会社がテレワークを認めていない」ところでは、人材採用・人材定着に悪影響を及ぼしていることも聞きます。(人材採用の面接時、候補者へテレワークをしていないことを伝えると応募を辞退されたり、テレワークをしない方針のため転職を検討するなど)

何が正しいのかも分からない中ではありますが、先ほどの報道を見た方のSNS投稿などからいえることは、試行錯誤していくことも、社内からも社外からも共感を得ていますので、まずは試行錯誤していくことにトライしていくことからはじめていくことが、前進につながると感じています。

働く人の意識変化

マネジメントをする上でご参考にして頂きたい、働く人の意識の変化についての調査をご紹介します。

2020年8月下旬の日経ウーマノミクス・プロジェクト会員への調査では、1136人中54.6%が「転職や副業、起業、学び直しを具体的に考えたり、行動したりした」と回答しています。
働く人においても「自分を見直し」「今後のキャリアを考え」「行動をおこそう」としている方が多いことが分かりました。

<アンケートに寄せられたキャリア見直しの声(調査結果より一部抜粋)>

 社内異動・業種転換

  • 社内でよりやってみたい仕事を考えるようになった
  • 業務上のスキル向上を図るため、オンライン講座で学び直しをしている
  • テレワークの課題を多く感じ、改善する仕事を希望。バックオフィスの部署に異動した

 資格取得・スキル向上

  • Zoomのオンラインセミナーに参加して自己啓発に努めた
  • 現在担当している業務でさらに評価してもらうため、資格勉強を始めた

 転職・副業

  • 副業で企業コンサルをはじめてみた
  • 自分のキャリアへの社会的評価に不安を覚え、経験を生かせる転職を検討中
  • 業績が悪化したにもかかわらず、危機感のない会社に見切りをつけ転職活動を始めた

少子高齢化は進み人生の寿命平均も延び続け、働く期間も長くなってきています。
先述した統計データなどから、「生活とのバランス」「働きがい」「自己成長」「チャレンジ」が重視されてきていることが読み取れます。

従来のような「管理・指示」を前提とするマネジメントではなく、社員の自主性や主体性を尊重し、自分自身学び直し成長していくことが、部下の成長をも促しイノベーションが活性化されていくことでしょう。

やりがいや成長を実感できることは社員にとっても会社に対するロイヤルティ(自社への愛社精神や忠誠心、帰属意識、組織コミットメントなど)も高まり組織力の強化にもつながります。

まとめ

テレワーク時代のマネージャーがもつべき意識や取り組み

 

  • テレワークに前向きに取り組む意識をもつ
  • 社内の情報やファイルの共有を積極的に進めていく
  • ビジネスチャット、WEB 会議等のクラウドツールを積極的に活用し自らコミュニケーションをとっていく
  • 部下を知る(興味・得意・やる気がでる分野・適正など)
  • 部下の新たなチャレンジやアイデアを取り入れる
  • ITに強い部下には積極的にテレワーク推進に協力してもらう
  • 上司が部下に仕事を教える関係だけではなく、ITに強い部下にはITについて教えてもらい、仕事を教えあう関係性をつくる

これまでの「管理・指示」から「部下の適正や成長欲求を見極め、マネジメントしていく」ことで、部下も上司も良い相乗効果を生み出していくのではないでしょうか。

自発的・主体的に「業務プロセスの見直し、見える化」を進めていき、社員がテレワークを自律的に活用し、主体的にチャレンジしたくなる職場風土を作る基盤づくりがますます求められていくことでしょう。

新たなやり方を模索し、学び、自ら成長を見せることはある意味しんどいことかと思いますが、平均寿命もあがり人生の選択肢も広がっています。
今もしお読みいただいている読者の方が50歳であれば、あと20年くらいは仕事をしていくことになります。

学びチャレンジをしていくことは人生を豊かにもしてくれます。
人と人が助け合い思いやり業績をあげていくために、社員の伴奏者となるマネージャーの存在は大きくやりがいのある立場だと思います。

 

米澤
【執筆者プロフィール】
米澤 裕美

米澤社労士事務所 代表 特定社会保険労務士
一般社団法人日本テレワーク協会専門相談員

ネットワーク機器メーカーの内勤営業として長年勤務後、社会保険労務士法人勤務をへて開業。ネットワーク機器メーカー在職中は、統括リーダーとして採用や教育にも注力。社内の情報や想いの共有が重要だと考え、全国支店共通で閲覧できる社内ポータルサイトを立ち上げ、抜本的な業務改善を実現。大切にしていることは人の想い