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【連載】渋沢栄一の言葉~著書から読み解く“不変の「王道」” Vol.4

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東京商工会議所の初代会頭であり、500を超える企業の設立に関わった渋沢栄一は、実に多くの言葉を残してきました。現代の経営においてもその言葉は力を持ち、不変の王道として、たゆまなくその意志をつなぐことが求められているのではないでしょうか。
このコーナーでは、東商新聞  で連載中の「渋沢栄一の言葉」を、順次紹介していきます。


口舌は禍(わざわい)の門であるだろうが、
ただ禍の門であるということを恐れて
一切口を閉じたらその結果はどうであろう

【論語と算盤】:常識と算盤 口は禍福の門なり より

 
調子に乗って口から出た言葉が不本意に禍を招いた苦い経験は誰でも持っているでしょう。
だから、発言するより「空気」を読んで、その場を凌ぐ日本人が少なくありません。

しかしながら、「それでは禍の方は防げるとしても、福の方はいかにして招くべきか」と栄一は問い掛けます。

恐らく、本人は弁が立つ性格であったからこそ、自身の運命を拓くことができたのでしょう。
大勢の人々の共感を呼んで、共に動くことを説得できなければ、あれほど壮大な仕事を成し遂げられませんでした。

微力な存在であるからこそ、他から共感を呼ぶように働きかけ、共に動くことによってコトが進む。
我々の日常生活において大切な心構えです。


ただ、感情的になる、あるいは、体験なしの知識だけで発言すると逆に禍を招いてしまうかもしれません。
「空気」を読む必要はありませんが、自分自身の振る舞いは注意を払った方が良いでしょう。

口を開かない。発言をしない。これは過去の時代では美徳だったかもしれません。
しかし、多様性を活かさなければならない、これからのグローバル時代では通用しません。

(東商新聞2016年2月20日号 掲載)

 

果たしてしからば女子に対する旧来の侮蔑的観念を除却し、
女子も男子同様国民としての才能智徳を与え、
共に相助けて事を為さしめたならば、
従来五千万の国民中二千五百万人しか用をなさなかった者が、
さらに二千五百万人を活用せしめる事となるではないか。

【論語と算盤】:偉人とその母 より

 

NHK連続テレビ小説「あさが来た」が人気を呼んでいます。
朝が来た、つまりキラキラ光った新しい社会の到来を連想させるドラマであり、その主役は民間の実業、そして、女性の活躍であることが国民の心を掴んでいるのでしょう。  
この新しい時代の幕が開く舞台に、民間力の向上をライフワークとした渋沢栄一も登場します。
銀行と商いの本質は「お金」ではなく、信用と教育であるという本人の思想のエッセンスを短いシーンで上手に描いていました。

ヒロインの「白岡あさ」のモデルとなった浅岡浅子が銀行設立の際に渋沢栄一と面会したという記録は実際には残っていませんが、日本女子大学校設立時には二人は設立運動に尽力したので接点があったかもしれません。

新しい時代の朝を迎えるには、過去の成功体験や固定概念から解かれる必要があります。
それは今の時代でも同じです。
女性の視点や価値観、そして、行動を取り込むことが、これからの時代の価値創造へ繋がります。
あくまでも女性の「活躍」であり、人数合わせの「活用」に留まるべきではありません。

(東商新聞2016年3月20日号 掲載)

<この記事に関連するサイト>
渋沢栄一 特設サイト|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/shibusawa/

 

渋澤 健(しぶさわ けん)
【執筆者プロフィール】
渋澤 健(しぶさわ けん)

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役
コモンズ投信株式会社取締役会長

<略歴>
複数の外資系金融機関でマーケット業務に携わり、2001年にシブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し代表取締役に就任。07年にコモンズ株式会社(現コモンズ投信株式会社)を創業、08年に会長に就任。経済同友会幹事およびアフリカ開発支援戦略PT副委員長、UNDP(国連開発計画)SDG Impact運営委員会委員、東京大学社会連携本部顧問、等。著書に「渋沢栄一100の訓言」、「SDGs投資」、「渋沢栄一の折れない心をつくる33の教え」、他。

シブサワ・アンド・カンパニー
http://www.shibusawa-co.jp/index.htm