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早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第7回)~「家賃支援給付金」申請の極意~

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国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。

すでに第6回までコラムを掲載いたしましたが、今回、国の2次補正で創設された「家賃支援給付金」の申請手続きに特化したポイントについて解説いたします。是非ご覧ください。
(本原稿は、2020年10月16日現在の情報に基づいて執筆しています)

なお、このページは、手続き上の主なポイントを理解していただくことを目的に記述しています。詳細は、下部にある家賃支援給付金事務局のリンクをご覧ください。

1.はじめに

国が行っている家賃支援給付金を巡り、「複雑でよくわからない」「何で不備を指摘されたのかわからない」といった声をよく聞きます。
 
確かに家賃支援給付金は、持続化給付金と比較して用意する書類も多く手間もかかります。しかし、ポイントを踏まえれば決して難しいものではありません。
そこで、今回はスムーズに給付決定されるための手続きのポイント(極意)をお伝えします。

なお、家賃支援給付金の制度内容、支給要件を知りたい方は、第6回のコラムをご参照ください。

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(1)申請の流れ

申請をスムーズに進めるために、まずは図1から家賃支援給付金の申請の原則的な流れと必要書類を理解しましょう(※ 特例を利用する場合などで別の書類が必要になることがあります)。

 

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(2)不備が多い部分

申請の流れの中で、圧倒的に多く不備が指摘されるのは、Step1の事前準備部分です。それは、家賃支援給付金事務局ホームページの「よくある不備」から読み取れます。

よくある不備(家賃支援給付金事務局ホームページ) 

いろいろと書いてありますが、大きく分類すると以下の3点です。

三大「よくある不備」

 ① 売上関連書類(確定申告書類・売上台帳)の不備
 ② 賃貸借関連書類の不備
 ③ 添付データが不鮮明

これらの不備があると、支給要件を満たすかどうか事務局として判断できません。したがって、これらの不備を指摘されないようにすることが、スムーズに給付を受ける極意となります。
以下、Stepごとに申請手続きのポイントを見ていきます。

2.Step1:事前準備

申請の肝は、Step1の事前準備です。
「段取り八分」という言葉があるとおり、申請の8割方は事前準備で決まります。
どのように事前準備を万端にすればよいか、先ほどの図1のStep1の流れに従って見ていきます。

(1)誓約書の記入

まずは、誓約書を以下(事務局ホームページ)からダウンロードしてください。

誓約書(家賃支援給付金事務局ホームページ) 

※ 直接PDFが開きます


ダウンロードしたら、全ての記載に目を通し、誓約できると判断したら図2の枠囲み部分を記入してください。

 

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(出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「家賃支援給付金申請補助シート記入説明書」より抜粋)

 

ここでの極意は3つです。

誓約書の“極意“

① 代表者名は必ず自署(手書き)する
代表者名も含めてスタンプを押して印を押せばいいと勝手に解釈してはいけません。個人事業者・法人問わず、代表者名は必ず自署(手書き)しましょう。

② 日付は申請日(電子申請する日)とする

③ 住所は登記簿(法人)・本人確認書類(個人)と一致させる
法人であれば登記簿にある本店所在地、個人事業者であれば免許証等の本人確認書類の住所と一致させてください。

なお、名称は法人なら法人名、個人事業者は屋号(屋号が無ければ空欄)を記入します。
誓約書の記入を終えたら、データ化しましょう(データ化については「3.Step2:電子申請」でまとめて説明します)。

(2)基本情報の準備

基本情報は、主に以下の4つを準備してください。

<準備するもの>
 ① 給付金振込口座の情報(通帳など)・・・要データ化
 ② 本人確認書類(個人事業者のみ)・・・要データ化
 ③ 設立年月日(登記簿や開業届などで確認)
 ④ 法人番号(法人のみ)

①について、給付金を受け取るには、口座の名義は、法人の場合は法人名義(法人の代表者名義も可)、個人事業者などの場合は申請者本人の名義である必要があります。
また、通帳などをデータ化する必要がありますが、金融機関名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人の全ての情報がわかるようスキャン・撮影しなければいけません。

また「② 本人確認書類」で個人番号カード(マイナンバーカード)をデータ化する際は、表面のみ撮影し、裏面の個人番号は写らないようにしてください。
「③ 設立年月日」と「④ 法人番号(法人のみ)」は、電子申請時にデータを入力する必要があるため、事前に用意しておきましょう。

基本情報の“極意”
① 口座名義と申請者は一致していること
② 通帳は「金融機関名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人」全てが鮮明に見えるようスキャン・撮影すること

(3)売上関連書類の準備

家賃支援給付金の支給要件の一つである「売上減少要件」を満たすことを証明する書類として重要です。具体的には、以下の書類を準備します。

<準備する書類>
①・【法人の場合】2019年分の確定申告書別表一の控え
 ・【個人事業者の場合】2019年分の確定申告書第一表の控え

②・【法人の場合】法人事業概況説明書の控え
 ・【個人事業者の場合】所得税青色申告決算書の控え(月別売上の記入のある2019年分の控えを持っている場合のみ)

③ 受信通知(e-Taxにて申告をおこなっている場合のみ)

④ 申請に用いる、売上が減った月・期間の売上台帳など

売上関連書類の不備は家賃支援給付金に限らず、他の給付金・協力金でも多く見られます。
家賃支援給付金事務局が公表しているよくある不備は、以下のとおりです。

 

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(出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「よくある不備」より抜粋)


※ ④~⑦について、記載や印のある資料の提出や通知の添付がどうしても困難な場合、代替措置が認められる可能性があるので、申請要領等で確認してください。

 

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(出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「よくある不備」より抜粋)

 

特に確定申告や普段の経理事務を税理士に依頼せずに自社で行っている方は、図に記載の不備に該当しないか、よくチェックしてください。特に収受印が無い、受信通知が付いていない、法人事業概況説明書の裏面の月別売上の記載が無い、という不備は多いです。

その上で先ほどの「準備する書類」をデータ化しますが、データ化する前に必ずやって頂きたいことがあります。それは、売上台帳に印(マーカー)を付けるということです。
具体的には、申請に用いる売上が減った月・期間の売上であることがわかるように、申請に用いる「売上が減った月」「売上が減った月の売上の合計」が記載されている箇所に下線(マーカー)を引く・枠で囲むなどはっきりわかるように表記します。
この印付けをしてからデータ化してください。

 

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 (出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「家賃支援給付金申請要領」より抜粋)

 

売上関連書類の準備の“極意”
① 図3・図4の不備が無いかを確認すること
② 売上台帳に印を付けること(申請に用いる「売上が減った月」「売上が減った月の売上の合計」部分

(4)賃貸借関連書類の準備

家賃支援給付金の給付額算定の基礎となる書類として重要です。具体的には、以下の書類を準備します。

<準備する書類>
① 2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効な賃貸借契約書の写し
② 直前3か月間の賃料の支払実績を証明する書類(銀行通帳の写し等)

①について、2020年3月31日から申請日までの間に、引越し、再契約などをした場合は、2020年3月31日時点に締結していたものと、申請日時点で有効なものの、2種類が必要となります。
そして、①・②の書類をデータ化する前に、印(マーカー)を付けることが大切です。具体的に印を付ける箇所は以下の図を参考にしてください。

 

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 (出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「家賃支援給付金申請要領」より抜粋)

 

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なお、以下の不備に注意して書類を用意することが必要です。

 

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(出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「よくある不備」より筆者編集)

 

上記③で銀行通帳や振込明細書、貸主からの領収書が用意できない場合は、「支払実績証明書」を貸主に証明していただく必要があります。
以下より様式をダウンロードしてください。

「支払実績証明書」(家賃支援給付金事務局ホームページ) 

※ PDFが直接開きます


また、上記①・②に関しては、かなり多くの方が陥りやすい不備と実感しています。
以下に該当する方は要注意です。

<①・②に関して注意すべき方>

 ・賃貸借契約の自動更新時に新たに賃貸借契約書(更新覚書など)を締結していないため、「2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効」な証明ができない

・賃貸人(大家)が死亡等で変わったが、新たな賃貸人と賃貸借契約書を締結していない

・賃借人(店子)が事業承継で変わったが、新たな賃借人名義で賃貸借契約書を締結していない

・貸主が知り合いなので不動産会社の仲介無しに直接口頭で契約を済ませている

このような場合には、「賃貸借契約等証明書」という書類を別途作成しなければなりません。
ケースごとに様式が異なりますので、申請要領を読んだ上で、以下の家賃支援給付金事務局ホームページを見るとわかりやすいでしょう(それでもわからない場合は、コールセンターに相談しましょう)。

■ 例外(「給付に必要な書類が準備できない場合」をご覧ください)
https://yachin-shien.go.jp/overview/exception/index.html

 

「賃貸借契約等証明書」や前述の「支払実績証明書」は、貸主に証明していただく必要があり、記載欄には貸主の自署(手書き)が必要など貸主の協力が不可欠となります。
また、物件の住所・名称、賃貸人や賃借人の名前や住所などの情報は、他の添付書類と矛盾なく正確に記載しなければいけません。

さらに、証明に時間がかかるものなので、申請のタイミングにご注意ください。
特に「支払実績証明書」は、待っている間に次月の家賃支払日が到来し、証明すべき内容を変えなければいけなくなるケースも想定されます。

賃貸借関連書類の準備の“極意”
① 契約書や証明書の記載に矛盾が無いようにすること
② 賃貸借契約書の写しと直前3か月間の賃料の支払実績を証明する書類に印を付けること

3.Step2:電子申請

(1)データ化の注意点

Step1の事前準備ができたら、次は「Step2 電子申請」です。
電子申請するにあたり、改めてStep1の事前準備で用意した書類をデータ化して、すぐにアップロードできるよう整理してください。
その際は、以下の不備に注意してください。

 

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(出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「よくある不備」より筆者編集)

 

特に②・③の不備は、他の給付金・協力金でも多く見られます。

さらに、賃貸借契約書のように書類が複数ページにわたる場合は、全ページを1つのPDFファイルにまとめてください。なぜなら、システム上、各書類は1書類につき1ファイルまでしか添付できないためです。
写真撮影して書類をデータ化した方は、検索エンジンで「画像 pdf まとめる」で調べると複数の画像を1つのPDFにまとめる方法が掲載されているので参考にしてください。

データ化の“極意”
① 必要情報が鮮明に見えているか、データを確認すること
② データの形式がPDF・JPG・JPEG・PNGとなっているか確認すること
③ 書類が複数ページにわたる場合は、全ページを1つのPDFファイルにまとめること

(2)申請情報入力時の注意点

データ化まで終わったら、いよいよ家賃支援給付金事務局ホームページ  から申請をします。
申請データを入力するときは、用意した添付書類の記載と矛盾が無いようにしましょう
住所、名前、金額など添付書類と同じになるよう一つ一つチェックしながら入力を進めてください。特に以下の不備には注意しましょう。

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 (出典:家賃支援給付金事務局ホームページ「よくある不備」より筆者編集)

申請データ入力時の“極意”
●  用意した添付書類の記載と矛盾が無いようにすること

4.おわりに

大変かもしれませんが、今回お伝えした「極意」に注意すれば、スムーズな給付につながる可能性は高くなります。
そして、無事に「家賃支援給付金の振込のお知らせ」のハガキを受け取ったら、東京都が行っている「東京都家賃等支援給付金  」の申請を行いましょう

以下の申請要件を満たす方は追加で申請できる可能性があります。

・都内に本店又は支店等のある中小企業等又は個人事業主であること
・都内の土地又は建物において、自らの事業のために他人の所有する土地又は建物を直接占有し、使用及び収益をしていることの対価として、家賃等の支払いを行っていること

なお、今後、内容に変更がある可能性がありますので、制度を利用される際は必ず、家賃支援給付金事務局ホームページから最新情報を確認してください。
そして、不明点が生じたときは、コールセンターにお問い合わせください。


 東京商工会議所  では、これまで解説をして参りました各支援施策をはじめ、会員事業所のご意見を集約し、国・東京都への要望を行っております。
また、スケールメリットを生かした様々な会員サービスを展開しています。本コラムをご高覧いただき東京商工会議所の事業活動にご関心をいただいた際はご入会もご検討ください。

<関連リンク>

家賃支援給付金(事務局ホームページ)
https://yachin-shien.go.jp/index.html

東京都家賃等支援給付金(事務局ホームページ)
https://tokyoyachin.metro.tokyo.lg.jp/

 
(本原稿は、2020年10月16日現在の情報に基づいて執筆しています)
 

七田 亘(しちだ・わたる)
【執筆者プロフィール】
七田 亘(しちだ・わたる)

七田総合研究所 代表
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ https://shichida-ri.co.jp/

<この記事に関連するリンク>

国・東京都の主な支援施策(都内中小企業・小規模事業者向け)
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/measures_info/