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間接業務のIT化が経営者の負担減のカギとなる【東商ICTスクエアお役立ちコラム】

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深刻化する人手不足により経営者の労働時間は増すばかりだ。間接業務に多くの時間をとられて、「売上向上につながる業務に注力できていない」と感じてはいないだろうか。

自身の負担解消のために間接業務をIT化したい、特に「財務・会計業務」にかかる時間を削減したいと考える経営者は多い。しかし、しっかりとIT化できている企業は現状ではそう多くない。

IT化に尻込みしている方は、2018年版「小規模企業白書」の分析を読むことを強くお勧めする。
間接業務のIT化が、単に業務時間の削減効果だけでなく生産性向上にも一役買うことがわかってもらえるだろう。

IT化が進まない理由

下記の第2-2-3図は、ITを導入する際の課題の有無を経営者に質問したものである。これを見ると8割以上が「ITを導入する際の課題がある」と回答している。

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その課題の内容としては、「導入の効果がわからない、評価できない」が48.3%と最も多く、ついで「コストが負担できない」の回答も44.9%と多くなっている(第2-2-4図)。
IT利活用に関する自身の情報不足から「本当に導入効果はあるのか、コストが増えるのではないか」といった不安により、業務のIT化が進んでいないと推察できるだろう。

IT利活用におけるメリット等の情報を正しく理解すれば、これらの不安は取り越し苦労だということがわかる。自身の企業にあったITツールはみつかる。


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財務・会計業務におけるIT化の現状と効果

次に、財務・会計業務におけるITの導入状況を見てみよう(第2-2-12図)。
「会計ソフト(クラウド型)を利用」が9.8%、「会計ソフト(インストール型、パッケージソフト)を利用」が29.5%。この2つ合わせて4割弱の企業が財務・会計業務をパソコン等でほぼ電子化している。

一方で「紙で計算している」企業が18.9%いる。これらの企業は特にこれから示すIT化による効果を大きく期待できるだろう。

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では、財務・会計業務のIT化でどんな効果が得られるのだろうか。
第2-2-13図は財務・会計業務におけるIT導入状況別に、直近3年間の経常利益額の傾向を比較したものである。

「紙で計算」している企業に比べ、「会計ソフトを利用」している企業のほうが経常利益額が増加傾向である割合が高い。その中でもクラウド型を利用している企業のほうが、経常利益額の増加傾向が高いのがわかる。

また、逆に経常利益額が減少傾向である割合は「紙で計算」している企業が特に高いのも特徴的だ。

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その理由は、次のグラフ(第2-2-14図)から推察できる。
クラウド会計ソフトを導入している企業に対して、導入により得られた効果を質問したものだが、実に8割近くの企業が「経理・会計業務にかかる業務時間の削減」効果を得られたと回答しているのだ。 クラウド会計ソフト導入によって会計業務の効率化が図られたことが経常利益の増加傾向の一因と考えていいだろう。

これまで財務・会計業務を紙で計算していた企業が、数字を入力するだけで自動的に計算してくれる「会計ソフト」を導入した場合、その業務時間の削減効果、そこからもたらされる効率化の効果はかなり大きいことが容易に推察できる。
この様に、間接業務時間の削減は売上向上、生産性向上の効果が期待できるのだ。


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クラウド型という選択肢を

IT導入の課題として「導入効果がわからない」と感じていた方は、ここまでの分析からIT化のメリットの一部を理解してもらえたのではないだろうか。
またもう一方の課題「コスト負担」への不安もクラウド会計ソフトは解決してくれる。

というのもクラウドサービスには、「初期導入コストが低い(月額数千円〜)」、「サーバーなどの設備を自ら保有することが不要であり、導入が比較的容易」というメリットがあるのだ。(中小企業庁が2017年6月に公表したスマートSME(中小企業)研究会の中間報告書より)

これらを踏まえると、クラウド会計ソフトの活用が有効な選択肢の一つと考えられるだろう。

これまで会計ソフトなどのITツールを導入しようとすると、用意したサーバやパソコンにインストールして使用するパッケージ型ツールが主流で、初期導入コストがかなり高いイメージがあった。そのためなかなかIT化に踏み切れない、後回しになってしまうといった企業も多かった。
そんな中2010年以降クラウド型の会計ソフトが増えてきたことで、IT化のハードルもぐっと下がっている。

人手不足の状況下で経営者の貴重な業務時間を効率的に使うために、間接業務のIT化はますます重要だ。
IT利活用に関する情報を積極的に取り入れることにより、クラウド型サービスなど選択肢は増える。間接業務時間の削減、売上向上、ひいては生産性向上を目指しIT化をぜひ進めて欲しい。

 

野村 忠史(のむら ただし)
【執筆者プロフィール】
野村 忠史(のむら ただし)

ナインソーツコンサルティング株式会社 代表

<略歴>
1971年生まれ。販売力強化コンサルタント。中小企業診断士。
営業会社入社後、最下位スタートであったが、独自ノウハウを構築し、1年後に200人のトップに。さらに80人中3人選出の最優秀賞に、新人2人を受賞させる。

その後、13年間あらゆる業種業態で一貫して営業職と勤め、常に上位10%にキープ。
経営コンサルとして独立後は、あらゆる業種業態に再現できる「売れる仕組み」を独自に考案し、2014年ナインソーツコンサルティング(株)を設立。

年間100件以上のコンサルとセミナーを通して、全国各地の中小企業の販路拡大・販売力強化支援を行っている。

<この記事に関連するサイト>
東商ICTスクエアお役立ちコラム
https://www.tokyo-cci-ict.com/column/
東商ICTスクエア
https://www.tokyo-cci-ict.com/