東京商工会議所は、健康づくり・スポーツ振興委員会において、緊急事態宣言発令期間を経た、企業における感染症対策に関する実態を把握するため標記調査を実施し、結果をとりまとめました。ポイントは以下の通りです。
1.新型コロナウイルス感染症の事業継続への影響と従業員の健康管理
〇新型コロナウイルス感染症拡大は、回答企業の76.1%に事業継続への影響を与えた(図1)。
〇コロナ禍では、従業員の健康管理に対し85.4%の企業が不安を感じている(図2)。
〇不安を感じている企業のうち、64.7%は「メンタルヘルス」と回答(図3)。
<n=580>
<n=582>
2.感染症BCP(感染症を対応を含むBCP)について
〇「策定済み」企業は17.8%。「策定中」「今後、策定予定」は併せて36.1%。一方「必要だが予定はない」も42.4%ある(図4)。
〇策定したBCPで今回十分対応できたのは19.4%にとどまる(図5)。
〇新型コロナウイルス感染拡大を受けて、BCPや防災計画の見直しを実施した企業は21.5%、今後実施する企業は30.9%と、今後のBCPやマニュアルの改訂を予定していることがわかる(図6)。
〇感染症BCPに含む内容では、「社内に感染症発生時の対応(87.1%)」「指揮系統の明確化(67.3%)」「重要業務の選択(63.4%)」と非常時のマネジメント関連が上位を占め、「主要取引先への説明準備(38.6%)」などの対外的な項目は半数を割った(図7)。
〇感染症BCP策定上の課題は「ノウハウやスキルがない(66.0%)」「人員が割けない(49.5%)」が回答上位(図8)。
(※複数回答)<n=303>
3.企業の感染症対策について
〇感染防止資材の購入は「手指用消毒液(90.5%)」「マスク(86.9%)」が上位(図9)。
〇およそ95%の企業が「手洗い・うがい・マスク着用の励行」「アルコール消毒液等の設置」を実施しており、「飛沫感染防止資材の購入(74.6%)」「定期的な従業員の体調確認(68%)」が続く(図10)。
〇労働関連の施策では「時差出勤等の出勤体制の見直し(71.6%)」「イベント・集会等の実施基準の見直し(71.1%)」「テレワークの実施(61.2%)」「国内や海外への出張制限(57.9%)」「休業または営業時間の短縮(56.4%)」と続く(図10)。
〇感染症対策資材(マスクや消毒液など)の現在の備蓄量は、全体の85%が3か月分以内に留まった(図11)。
〇今後の対策に必要とされる費用(今後一年間程度)は、「~50万円」と回答した企業が40.8%と最も多かった(図12)。
(※複数回答・上位7項目まで<n=582>)
【図11】感染症対策資材(マスクや消毒液など)で現在備蓄しているおおよその量 <n=559>
<n=539>
4.今後の感染症対策について
〇従業員への検査・ワクチン接種実施への関心度合いは高く (92.9%)、PCR検査等の実施も関心が高い(86.3%)(図13)。
〇行政に求める支援施策は「ワクチンの早期開発・普及(80.4%)」「PCR検査・抗体検査の実施体制の構築(71.3%)」「感染症対策資材等の購入の助成金・補助金(59.5%)」が上位。「感染症対策のノウハウの提供(48.7%)」を求める声も多い(図14)。
5.最後に
東京商工会議所では、企業の皆さまの声をもとに、国や東京都に対して要望活動を行っています。
今後も、企業の実態を踏まえた要望活動を行ってまいりますので、ご意見がございましたら、下記リンクからお寄せください。
<「企業における感染症対策に関する実態調査」結果の詳細はこちら>
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1022911
<東京商工会議所の「意見・要望書」一覧はこちら>
https://www.tokyo-cci.or.jp/president/proposal/
<ご意見はこちらからお寄せください>
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/opinion/