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非対面で行こう! 第1回〜きちんと続ける「テレワーク」

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1. 非対面型ビジネスモデルへの転換

4/1に研修会社からお電話をいただきました。
「来週から始まる研修ですがオンラインでやってもらえませんか?」と。
薄々予想していたものの、大慌てでオンラインの研修を実施する準備を整えました。
緊急事態宣言の前後は、研修だけではなく、多くの事業者が急遽、非対面で対応することが求められました。

一段落はついたものの、以前と同じライフスタイルには戻らないと予想されることから、今後も非対面型のビジネスモデルへの転換は急務だと言えるでしょう。
国や東京都の施策においても、今年度は非対面型へ転換するための補助金や助成金については、補助金額や補助率が優遇されているものが多くなっています。

2. 補助金の活用の例

ある内装工事業では、事務所と併設でショールームがあり、そこでお客様との打合せや、社員が設計をしていましたが、コロナの影響もあって、残念ながらショールームは閉店することとなりました。

そうすると、社員はテレワークとなりました。
パソコンや通信機器といったハード面を揃えないといけないのは当然ですが、それだけではテレワークは成り立ちません。
この会社の場合はお客様の情報を本社事務所においてあったキングファイルで管理していたからです。

書類を全て自宅に持ち帰ることは物理的に難しいですから、これを機にペーパーレスの割合を増やすことにして、既存の紙資料をスキャンしてデータ化したうえで、オンラインサービスを使って、オンライン上でデータ化した紙情報のファイルを共有しました。
つまり、ソフト面の整備も行ったのです。

これで社員は自宅でテレワークができるようになりました。
打合せもオンライン会議システムを活用しました。
お客様との打合せはさすがに全てテレワークとはいきませんが、必要に応じて併用しました。
今までお客様を訪問する際には、キングファイルを持参していましたが、オンラインファイル共有サービスを使うことで、タブレットでも情報を閲覧することができました。

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ここまでいくつかのハードとソフトの仕組みを導入しましたが、ハードについては東京都の補助金を活用することで費用がかかりませんでした。
ソフトもまだデータの利用量が少ないので費用はかかっていません。

仕組みを導入するだけでテレワークがスムーズに導入できるとは言えませんが、今期は非対面型に転換するためには良い機会であると言えます。

以降に、テレワーク導入に活用できる補助金の例を紹介します。
特に、東京都のテレワーク定着促進助成金は始まったばかりですし、10万円未満であればパソコンなどのハードも助成対象となっています。

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3. なぜ今までテレワークの導入がすすまなかった?

テレワークは、離れた場所(テレ)で働く(ワーク)という造語で、直近では在宅勤務の意味合いで使われることも多いですが、本来は自宅で働くだけではなく、職場に縛られず働けるという意味です。

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日本でテレワークが浸透してこなかった原因は、テレワークを導入する目的の不明確さにあると考えます。

情報通信白書によると、テレワークを導入する目的の第1位は「生産性の向上」です。しかし「生産性の向上」という言葉は、漠然としており、どうすれば生産性が上がるのか具体化できていない事業者が多い状況です。

そして、2〜4位は勤務者の福利厚生のための項目が並びます。
もちろん福利厚生として制度を導入することも大事ですが、企業の多くは「テレワークを実施することは勤務者のためであり、企業にとってのメリットは大きくない」と感じており、これがテレワークの推進が進まなかった原因だと推察できます。

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テレワーク導入により顧客満足度の向上や、優秀な人材の確保、具体的な業務効率の向上が実現すれば、本来は企業側も積極的にテレワークを導入するはずでしょう。
また、今回を機にBCP(事業継続計画)やオフィスコスト削減のためにテレワークを導入する企業も増加するでしょう。

何のためにテレワークを導入するのか、より目的を具体化することが必要です。
皆さんは、テレワークで顧客満足度は上げられないと思っていないでしょうか?

先日、某社に問合せをして、デモを依頼しました。
そうすると、「何なら今からオンラインでデモをお見せできますがいかがでしょうか?」と返事があり、即日にデモを見せていただけました。
顔を突き合わせての商談も重要ですが、オンラインでの商談でも、スピード感や対応の柔軟性を発揮することで、十分に顧客満足度は向上させられると言えます。

4. テレワーク導入企業がかかえる課題

東京商工会議所のアンケートによると、導入に向けての課題は主に4つあります。
平時であれば、④制度→③業務→①補助金→②IT導入 のステップを踏むべきでしょうが、今回のような急激な変化対応のときには導入手順が変わることもありました。

本記事では②ITについて記載していきます。

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5. テレワークの実現のために必要なITとは

以下にテレワークに必要なITを挙げました。
冒頭の内装業の事例のようにハード面とソフト面を整えていきましょう。
ソフト面ではコミュニケーション系のツールに注目が集まりました。TV会議や、ファイル共有や、チャットなどです。
これらのツールは安価なものが多く、導入も簡単なため、TV会議の開催数は大幅に増加しました。

しかし、問題なのはコミュニケーションが取れればそれでテレワークがうまくいくかということです。
会議をするのが仕事の目的ではないように、業務自体をテレワークで実行することが本来必要なことです。
日常業務を自宅等においてテレワークで行うためには、業務系のシステムをクラウド化して必要な場所から利用できるようにすることが必須です。
就業担当なら就業システム、経理担当なら会計システム、営業担当なら営業支援システム、これらをテレワークで使えなければ、業務が回らないのも当然です。

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緊急事態宣言終了後に、テレワークを止めざるをえなかった企業は、日常業務系の仕組みがクラウド化できていなかった可能性があります。
はんこを押しに出勤していた企業の事例などが当てはまるでしょう。

ただし、コミュニケーションツールと違って、通常のシステムを全てすぐにクラウド化するのは困難な場合もあります。
将来に向けて、今後システムを導入していく際には、全てクラウドの仕組みで導入していくことを考えておきましょう。
はんこについても少なくとも社内の決裁の仕組みであれば自社単独で導入を検討できます。
外部との契約を電子契約で実施できるかは調整が必要になりますが、システムだけでなく業務を改善していくことも並行して取り組んでいきましょう。

6. テレワークの実施効果を高めるには?

最後に、テレワークの実施効果を高めるためのポイントは、テレワーク実施企業の生の声から探ってみます。
ここでは東京商工会議所の実施したアンケートの中から、5つのキーワードを抽出してみました。

身の丈」にあったシステムを「クラウドサービス」の中から選定し、活用していき、システムだけに頼るのではなく、「メリハリ」のきいた業務運用をしていきましょう。
また、「セキュリティ」体制の整備も意識しながら、より一層「ペーパーレス」化をすすめて、テレワークをスムーズに運用し効果を高めていきましょう。

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7. はじめてのIT活用

ここまで、テレワークのIT活用を中心に記載してきました。
しかし、パソコンもスマホも得意でないので使いたくないという事業者の方も大勢いらっしゃると思います。

ただ、今回のコロナ禍もあり、非対面型のビジネスモデルへの転換はどの企業にとっても急務です。
そのためにはITを使いこなすのは商売人にとっても必要な力となっています。

昔なら「読み書きそろばん」であったものが、「IT活用」に変わっています。
しかし、IT活用と言っても難しいプログラムを作る力が必要になるわけではありません。
業務用のシステムにパソコンで入力できたり、スマホで報告ができたりといった、基本的な力があればOKです。

日常的にITに触れ合って、IT活用レベルを高めていきましょう。

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東京商工会議所では、「はじめてのIT活用」のための相談ダイヤルを用意しています。
IT活用をしたいのに、どこから取り組んでいいかわからないといったご相談にも対応していますので、ぜひお気軽にお電話、お問い合わせいただければと思います。

はじめてIT活用 URL    https://hajimete-it.org/

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村上 知也(むらかみ・ともや)
【執筆者プロフィール】
村上 知也(むらかみ・ともや)

株式会社にぎわい研究所 代表取締役

<略歴>
1973年大阪生まれ、2008年中小企業診断士登録。 IT企業に13年間勤務し、ITコンサルタントとして活躍。企業のIT化支援や、ホームページ、SNS活用といったWebマーケティング分野を得意としている。特に、小規模事業者向けに「なるべくお金をかけずに行う」集客や、「非対面型ビジネスモデルへの転換」に伴うIT活用の支援に取り組んでいる。 東京商工会議所 ビジネスサポートデスク東京東でIT相談員を務めている。

村上知也ホームページ https://london3.jp/