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早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第6回)~家賃支援給付金のポイント解説~

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国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。

すでに第5回までコラムを掲載いたしましたが、今回、国の2次補正で創設された「家賃支援給付金」と、東京都が創設した「東京都家賃等支援給付金」について解説いたします。是非ご覧ください。
(本原稿は、2020年8月19日現在の情報に基づいて執筆しています)

なお、このページは、申請上の主なポイントを理解していただくことを目的に記述しています。申請方法などの詳細は、下部にあるリンクをご覧ください。

1.家賃支援給付金(国)

家賃支援給付金は、2020年6月12日に国の第2次補正予算案が国会で可決・成立したことを受け、創設されました。
この給付金は、新型コロナウイルス感染症を契機とした5 月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面する事業者にとって大きな負担となっている地代・家賃(以下、賃料)の負担を軽減することを目的として、賃借人(借主)である事業者に対して給付金を給付するものです。

まず、詳細を見る前に、以下のURLから、「申請要領(基本編)」をダウンロードしてください。

資料ダウンロード | 家賃支援給付金  

詳細は申請要領を必ず確認してください。
以下、申請要領からポイントをピックアップして見ていきます。

(1)給付対象者

次の①~⑥全てを満たす事業者の方が対象となります。

支給対象となる要件

① 資本金10 億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者(法人に関しては医療法人、農業法人、NPO 法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も対象)

② 2020年5月~12月において、「いずれか1カ月の売上高が前年同月と比較して50%以上減少」または「連続する3ヶ月の売上高の合計が前年同期の合計と比較して30%以上減少」のいずれかに該当すること

③ 2019年以前から事業収入(売上)を得ており、 今後も事業継続意思があること

④ 自らの事業のために占有する土地・建物の賃料を支払っていること

⑤ 2020年3月31日時点と申請日時点で有効な賃貸借契約があること

⑥ 申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があること

以下、①~⑥までポイントを見ていきます。

① 資本金10 億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者(法人に関しては医療法人、農業法人、NPO 法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も対象)

一部の業種や法人を除き、幅広く対象としています。

2020年5月~12月において以下の(a)(b)いずれかに該当すること

(a) いずれか1カ月の売上高が前年同月と比較して50%以上減少(図1参照)

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(出典:家賃支援給付金事務局「家賃支援給付金申請要領」より抜粋)

 

(b) 連続する3ヶ月の売上高の合計が前年同期の合計と比較して30%以上減少(図2参照)

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(出典:家賃支援給付金事務局「家賃支援給付金申請要領」より抜粋)


「売上の急減」を2020年5月~12月の売上で見るというのがポイントです。持続化給付金とは異なる部分ですので注意してください。
なお、上記は原則ですので、2019年に創業した事業者などは特例もあります。上記の原則で該当しない場合は、特例が該当するか検討してください。

2019年以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続意思があること

廃業を予定している事業者は対象にはなりません。また、2019年以前から事業収入を得ているということは、2020年創業の事業者は対象外という意味となります。
しかし、2020年1~3月創業の事業者主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者(現状は事業所得で確定申告した個人事業者が対象)は、給付対象とする方向で検討していると公表されています。これらに該当する方は、家賃支援給付金事務局のホームページを随時確認してください。

④ 自らの事業のために占有する土地・建物賃料を支払っていること

要は、他人の土地・建物を借りて商売をし、賃料を支払っていることが要件です。建物ばかりでなく、土地(地代)も対象となっており、例えば駐車場や資材置場など事業として使用している土地の賃料も対象となります。
また、管理費や共益費も、賃料と同じ契約書の中で取り決めがされていれば、対象(賃料とは別契約の場合は対象外)となります。
しかし、以下に該当する場合は対象外となり、実務上、注意が必要です。

<対象外となるパターン>
◆ 自己保有の土地・建物
自己保有する土地・建物のローンを支払っていたとしても、そのローン代は対象外です。あくまで、「他人が保有する」土地・建物の賃料でなければいけません。


◆ 自己取引に該当する契約であること
自己取引とは、貸主と借主が実質的に同一人物となる取引をいいます。例えば、貸主・借主が、法人の代表取締役個人と法人(図3参照)、親会社と子会社といった取引です。

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(筆者作成資料)

 

◆ 親族間取引に該当する契約であること
親族間取引とは、貸主と借主が配偶者または一親等以内の取引をいいます。また、法人同士の取引であったとしても、その法人の代表が配偶者同士や親子関係にある場合も親族間取引に含みます(図4参照)。

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(筆者作成資料)


◆ 転貸(又貸し)している
転貸(又貸し)とは、借りている物件を別の人に貸すことをいいます。借りている物件を自ら占有し、利活用していることが要件となっています。

 

以上が対象外となる取引です。ただし、個人事業者の「自宅兼事務所」の家賃は、自ら事業をしている部分の経費のみ対象となります。つまり、事業用の地代・家賃として確定申告書で申告している部分のみ対象となります。

2020年3月31日時点申請日時点有効な賃貸借契約があること

2020年3月31日時点と申請日時点で、貸主が異なる場合も対象となります。例えば、より安い賃料の物件に移転した場合などが想定されています。

⑥ 申請日より直前3か月間の賃料支払いの実績があること

支払実績を証明するものとして、賃料が引き落とされた通帳の写しや振込明細書などを用意する必要があります。なお、支払免除や支払猶予を受けている場合は、申請時の直前1か月以内に賃料を支払っていることが条件となります(その際は、別途書類を用意する必要があります)。

(2)給付額

給付額は、申請時の直近1か月に支払った賃料に基づき、以下の図に示された式で計算します。

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(出典:中小企業庁「家賃支援給付金に関するお知らせ」より抜粋)


個人事業者は、法人の半額となります。満額の給付を受けるには、法人の賃料は月額225万円、個人事業者の賃料は月額112.5万円以上を支払っている必要があります。ポイントは以下のとおりです。

<給付額のポイント> 
① 申請時の直近1か月で支払った賃料が減額を受けている場合は、減額された賃料で給付額が計算される
もし元の賃料の水準で給付額を計算したい場合は、元の賃料を支払った後に申請をします。免除や支払猶予を受けていた場合も同様です(この場合、そもそも支払賃料は「0(ゼロ)」として計算されるため、申請ができません)。資金繰り状況を勘案して、申請のタイミングを判断してください。

複数の土地・建物を借りている場合は、一度に全ての申請を行う必要がある
申請は1事業者1回限りです。複数の土地・建物ごとにその都度、申請を行うものではないことに注意しましょう。

(3)申請期限

申請期限は、2021年1月15日24時までです。

申請は、要件に該当すれば、いつでも1回に限り申請ができます。減額、免除、支払猶予を受けている事業者は、「(2)給付額」のポイントで説明したとおり、申請のタイミングに注意してください。なお、電子申請で行いますが、期限直前は何が起きるかわかりませんので、余裕をもって申請しましょう。

(4)事前準備

申請の前に、必要書類を事前に準備し、スキャンまたは写真を撮ってデータ化してください。準備する書類は、持続化給付金の必要書類プラスアルファのイメージです。持続化給付金と異なるのは、以下の書類が追加されていることです。

 ① 賃貸借契約書の写し
 ② 申請の直前3か月分の賃料の支払い実績を証明する書類(通帳の写しなど)
 ③ 誓約書(所定の様式あり)
  ※ 例外や特例に該当する場合は、必要となる書類が異なります。

2.東京都家賃等支援給付金(東京都)

東京都においても、国の家賃支援給付金に独自の上乗せ給付(3か月分)を実施することとなりました。国の家賃支援給付金の給付決定を受けていることが大前提となっています。以下、概要を見ていきます。

(1)申請要件

 ① 国の家賃支援給付金の給付決定を受けていること
 ② 都内に本店又は支店等のある中小企業等(※)又は個人事業主であること
  ※ 中小企業基本法第2条に規定する中小企業者と、医療法人・NPO法人など会社以外の法人
 ③ 都内の土地又は建物において、賃料の支払いを行っていること

<ポイント>
◆ 東京都内に本店や支店等を持つ事業者の土地や建物の賃料の支払いが対象
都外にある建物・土地の賃料は対象外です。また、都内に本店・支店等がなく、土地のみがある場合は、その地代等は対象外となる場合があります。

◆ 対象となる中小企業等は、国の家賃支援給付金より限定
国では資本金が10億円未満の会社(中堅企業)が家賃支援給付金の対象になりますが、都は「中小企業基本法第2条に規定する中小企業者」が給付対象となります。「中小企業基本法第2条に規定する中小企業者」とは、以下の図の範囲に該当する中小企業者です。

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 (出典:中小企業庁「中小企業施策利用ガイドブック」より抜粋)
 

したがって、企業規模により、国の家賃支援給付金の給付を受けていても、東京都の給付金の対象とならないことがあります

(2)給付額

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(出典:東京都産業労働局「『東京都家賃等支援給付金』実施概要」より抜粋)


あくまで、国の家賃支援給付金の上乗せ給付という位置づけですので、国の家賃支援給付金より給付額そのものは低くなっています。 

(3)その他

◆ 申請受付
8月17日(月)より、申請受付を開始しています。
申請期限は、令和3年2月15日(月)までです。
オンライン又は郵送で申請受付をしており、「郵送」も可能なのは、国の家賃支援給付金とは異なるところです。

◆「東京都家賃等支援給付金コールセンター」
電話番号:03-6626-3300
開設時間:9時~19時(土日祝日含む毎日、11月以降は土日祝日・年末年始除く)

 3.おわりに

今回、国と東京都の家賃支援のための給付金の解説をして参りました。最後に補足しますと、国の家賃支援給付金の振り込みが決定したタイミングで、「家賃支援給付金の振込のお知らせ」が、申請者と貸主(または管理業者)宛に送付されます。したがって、滞納しているなどの事情で貸主との関係性が悪化している場合は、トラブルになる可能性もあります。家賃支援給付金を利用するにあたって、貸主と良好な関係性を築き、家賃の支払いを滞りなく実行できるよう留意してください。

また、今後、施策に変更がある可能性がありますので、施策を利用される際は必ず、関係機関のホームページから最新情報を確認してください。そして、不明点が生じたときは、関係機関のコールセンターにお問い合わせください。


 東京商工会議所では、これまで解説をして参りました各支援施策をはじめ、会員事業所のご意見を集約し、国・東京都への要望を行っております。
また、スケールメリットを生かした様々な会員サービスを展開しています。本コラムをご高覧いただき東京商工会議所の事業活動にご関心をいただいた際はご入会もご検討ください。

<関連リンク>

家賃支援給付金(事務局ホームページ)
東京都家賃等支援給付金(事務局ホームページ)
東京都(都と23区)の補助金・助成金・融資情報(J-net21)
国の支援策パンフレット(経済産業省ホームページ)
東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ

(本原稿は、2020年8月19日現在の情報に基づいて執筆しています) 
 

七田 亘(しちだ・わたる)
【執筆者プロフィール】
七田 亘(しちだ・わたる)

七田総合研究所 代表
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ https://shichida-ri.co.jp/

<この記事に関連するリンク>

国・東京都の主な支援施策(都内中小企業・小規模事業者向け)
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/measures_info/