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【企業向け新型コロナウイルス対策情報】第23回~PCR検査・抗体検査・抗原検査についての考え方

f:id:tosho-antenna:20200721162229j:plain東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。

(※)本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。


経営者・総務人事担当者のみなさま、PCR検査、抗体検査、抗原検査など各種検査についてメディアで取り上げられています。

「従業員の感染状況をチェックするために、みんなに検査を受けてもらいたい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。また、検査を実施する企業から「お客様の安心のために」という売り込みもあるかもしれません。

安易に飛びつくのではなく、意義やコストなども踏まえて実施の是非を検討しましょう。

1.課題の背景

新型コロナウイルス(感染症(COVID-19)流行の初期には、診断確定のためのPCR検査がなかなか受けられない状況が続きました。
緊急事態宣言の発出、解除を経て、経済活動再開を進める中で、また、プロ野球やJリーグでは選手や関係者全員にPCR検査を定期的に実施するというニュースもあり、新型コロナウイルスに感染していないことを確認したい、というニーズが生じています。

しかしながら、現時点ではまだ検査を受けたいと思う人がすべて検査を受けられる状況ではありません。
また、一般的に、濃厚接触の可能性がはっきりしない無症状の人に検査を行うことは勧められていません。
検査について正しく理解して実施することが重要です。

2.企業でできる対策

1)一般的な検査の解釈のしかたについて理解する

2)それぞれの検査の意義・課題について正確な情報を得る

3)企業で検査の実施を検討する場合は、産業医等の専門家に相談する

1)一般的な検査の解釈のしかたについて理解する

POINT

 感染していない、あるいは感染力のないウイルスが残存しているだけでも陽性になることがある(偽陽性

 ウイルスなどが存在していても検出できないことがある(偽陰性)ため、「陰性」だからといって新型コロナウイルスに感染していないことの証明にはならない

2)それぞれの検査の意義・課題について正確な情報を得る

PCR検査はウイルスの遺伝子(RNA)を増幅させることによってわずかなRNAでも検出できるものです。
抗原検査はウイルスの一部を検出するもので、抗体検査はウイルスに対する体の免疫反応によって生じた抗体を調べるものです。

a)PCR検査

 PCR検査が陽性の場合は、ほぼ確実に新型コロナウイルス感染症であると診断できる(検査が陽性でウイルスのRNAが存在する確率は98%

 PCR検査では、感染力のないウイルスが残存しているだけでもRNAを検出し、陽性になることがある(偽陽性

 PCR検査が陰性でも、新型コロナウイルス感染を否定はできない

b)抗原検査

 抗原検査が陽性の場合には新型コロナウイルスに感染していると考えられる

 抗原検査は見逃し(偽陰性)の危険性があり、新型コロナウイルス感染を否定はできない(ウイルスが存在する場合に陽性となる確率は37~66%

c)抗体検査

 感染してから抗体ができるまでには時間がかかるため(ウインドウピリオド)、感染していても抗体検査では陰性になることがある

 新型コロナウイルス感染症では、回復後早期に抗体価が減少するため、感染したことがあっても抗体検査では陰性になる可能性がある

 抗体検査が陽性だからといって、新型コロナウイルス感染症に対する抵抗力があるかどうかはわかっていない。地域でどれくらいの人が感染したかを調べる公衆衛生的に調査することは有用だが、1つの企業などで調べる意義は薄いと考えられる

 過去の一般的なコロナウイルスへの感染によっても抗体検査が陽性になる可能性があり、新型コロナウイルス感染症にかかったかどうかを確実に証明することはできない

<それぞれの検査の特徴>
  ※本ページ下部<関連情報リンク>(1) 参照

3)企業で検査の実施を検討する場合は、産業医等の専門家に相談する  

PCR検査を感染が疑われる患者さんが受ける場合には本人負担はありませんが、企業で実施する場合には、医療機関にもよりますが1件3万円程度のコストがかかります。
抗体検査、抗原検査は同様に1件7千円~1万円程度のようです。

検査をして、もし陽性になった場合にはその人を隔離するのか、濃厚接触者を隔離するのか、という対応も決めておく必要があります。
また、検査をした時点で陰性であったとしても、その後に感染する可能性もあり、どのくらいの頻度で検査を行うかも検討する必要があります。

日本ではPCR検査の実施数が少ないという批判がありましたが、「受けたい人」全員が受ければよい、というものでもありません
検査の実施可能件数には限りがある中で、社会全体でどのように資源を配分すべきかについても考えることが必要です。

このように企業独自で検査を実施する際に考えておくべき課題がいくつもあります。
企業で検査の実施を検討する場合は、事前に産業医等の専門家に相談することをお勧めいたします。

POINT

 企業で検査の実施を検討する場合は、産業医等の専門家に相談する

 感染防止のためには3密を避けること、こまめな手洗いが最も重要であり、人と近くで接する場合にはマスクを着用する


<関連情報リンク>
(1) それぞれの検査の特徴
(2) Yahoo!ニュース 「抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける?」
(3) 厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&
A(一般の方向け)
(4) 配信動画
(5) OHサポート株式会社 配信情報バックナンバー

【文責】
櫻木 園子

一般財団法人京都工場保健会 産業保健推進部

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

OHサポート株式会社では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。
本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者・総務担当者の方に拡散をお願いします。

また、動画配信も順次行っております。
※上部のリンク(4)をご覧ください。

※これまでに配信しましたバックナンバーは、上部のリンク(5)をご覧ください。

本内容に関するご意見・ご要望は、下記までお寄せください。
 covid-19@ohsupports.com

<この記事に関連するサイト>
企業向け新型コロナウイルス対策情報一覧|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/covid-19/

健康経営倶楽部|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/