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【労使トラブルQ&A】パワーハラスメントについて

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様々な労使トラブルを防ぐ方法などについて、Q&A形式で紹介する本連載。
今回は、昨今急増しているパワーハラスメント(以下、パワハラ)への対応を取り上げます。

f:id:tosho-antenna:20200623101129p:plain「上司から強い叱責を受けた」と従業員から申し出がありました。
上司は指導のつもりのようです。パワハラに当たりますか?

f:id:tosho-antenna:20200622134010p:plainしっかりと事実確認を行い、客観的に判断しましょう。
また、就業規則にパワハラ禁止について規定することをお勧めします。

パワハラ防止法が制定

各都道府県の労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」の相談は右肩上がりに増えています。
このような背景もあり、昨年5月、企業・職場でのパワハラ防止を義務付ける「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」が成立されました。

職場におけるパワハラ防止のために、大企業では本年6月から、中小企業では22年4月から以下の対応が義務付けられます。

 〇 社内方針の明確化と周知・啓発(規定を作るなど)
 〇 苦情などに対する相談体制の整備(相談窓口の設置など)
 〇 被害を受けた労働者へのケアや再発防止(社内研修など)

同法には直接的な罰則はありません。
しかし、これらの義務に違反し、勧告に従わない場合には企業名が公表されることもありますので、対応は必要となります。

パワハラの定義

同法では、パワハラを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義しています。

適正な範囲で行われる指示や指導については、該当しません。
指導として必要のない悪意のある暴言があったか、人格を否定する発言があったかなど、客観的に確認します。

パワハラ防止への取り組み

パワハラは職場環境を悪化させ、モチベーションや生産性の低下、従業員の心の健康を害するといった様々な問題を引き起こします。

パワハラのある企業では、労使間の信頼関係は薄れ、人材の定着や採用への影響は計り知れません。
また、SNSなどの書き込みによってパワハラが起きたことは瞬時に拡散される可能性があります。
企業の信用は失墜し、顧客が離れることもあるでしょう。

経営者は「パワハラNG」をしっかりと表明し、パワハラの起こらない風土を構築しましょう。
また、パワハラ防止規定を定めることで、その姿勢を社内外にしっかりと打ち出すことが大切です。

<参考>就業規制の規定例とチェックリスト

規定例
第○条(パワハラ行為の禁止)
 従業員は、その職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係に基づいて、業務の適正な範囲を超える言動により、他の従業員に精神的、身体的な苦痛を与え、就業環境を害するようなことをしてはならない。
 従業員がパワハラ行為を行ったと認められる場合には、第○条に基づき懲戒処分を行うことがある。

※ 就業規則の本文中ではなく、ハラスメント防止については、別の規定を設けても良いでしょう。

チェックリスト

パワハラに対する会社の方針は明確になっているか
相談窓口は設置しているか(周知されているか)
ハラスメント防止のための研修を行っているか

【執筆者プロフィール】
大野 ゆかり

ドリームサポート社会保険労務士法人・特定社会保険労務士
同法人は千代田区と国分寺市の2拠点で事業展開し、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている。

 

<この記事に関連するサイト>

東商新聞 2020年4月10日号(8面に掲載)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/page200410/
東商新聞 デジタル版(最新号・バックナンバー)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/