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【労使トラブルQ&A】想定外の残業代の未払いについて

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昨今は、働き方改革関連法など様々な法制度が制立・改正されていますが、就業規則が未整備のため、労使トラブルが発生する会社も多く見受けられます。
本記事では、それらへの対応策について、Q&A形式でご紹介します。

f:id:tosho-antenna:20200623101129p:plain労働基準監督署から残業代の支払いが違法と指摘されました。毎年の休日数が異なることが原因とのこと。どうすれば良いですか?

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就業規則で年間労働日数を固定にし、年末年始などは休暇の扱いにしましょう

① 労働基準法上の休日は週に1日

初めに、労働基準法上の休日の考え方を確認します。
同法では休日について、「原則、毎週1日あれば良い」としています。つまり、必ずしも祝日などを休日とする必要はないのです。

一方で、就業規則に「会社休日は、土曜・日曜・祝日・年末年始・夏季」と定めている会社も多くあります。
この場合は、法律の定めよりも休日を与えているということになります。

また、年末年始における会社の休業日などは、カレンダーを確認しながら、日数を決める会社が大半です。
この場合、労働日数が年によって変化することになります。

② 賃金単価の変動に注意

労働日数が年ごとに異なると、それに伴い年間所定労働時間も変わってきます。
その結果、時間当たりの賃金単価が変動してしまいます。

時間外割増賃金は、これを基に計算しますから、賃金単価が上がったことに気付かないと、想定外の残業代の未払いが発生してしまうのです。

③年間労働日数を固定にする

賃金単価の変動を避けるためには、年間の所定労働日数を固定にしてしまいます。
その上で、年末年始などの不確定がある部分については「休暇」として扱います。
例えば、毎年確実に休みとなる12月29日から1月3日は休日とし、その前後を休みにしたい場合は「休暇」に設定します。

休日と休暇は異なります。
前者は労働義務がない日ですが、後者は労働義務を免除する日です。
つまり、休暇はもともと労働日であり、その日の労働義務を免除するだけですから、年間所定労働時間に影響はありません

まとめ

以上を踏まえて、質問のような違法を避けるためには、まずは就業規則上で年間労働日数を固定します。
その上で年末年始などカレンダーを確認しながら、出社を要しない日については、休暇扱いとします。

これにより、賃金単価の変動を避けられ、想定外の残業代の未払い発生を防ぐことができます。
(就業規則改定に伴い従業員に不利益が生じる場合は、経営者側の一方的な変更はできず、同意を得るなどの手続きが必要ですので十分に注意してください)

<参考>就業規則の規定例とチェックリスト

規定例
第21条(休日)
社員の休日は、次の各号に掲げる通りとし、年間所定労働日数は243日とする。
 (1)土曜・日曜日
 (2)上記(1)の他、年間カレンダーにより決定した日

チェックリスト

 休日の定めはどうなっているか?
 就業規則上で労働日数を固定にしているか?
 労働日数が年ごとに異なる場合は、それに変動して残業単価も変えているか?
 休日と休暇の違いを認識して運用しているか?

 

【執筆者プロフィール】
下田 直人(しもだ・なおと)

特定社会保険労務士・ドリームサポート社会保険労務士法人
同法人は千代田区と国分寺市の2拠点で事業展開し、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている。

 

<この記事に関連するサイト>

東商新聞 2020年3月20日号(7面に掲載)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/page200320/
東商新聞 デジタル版(最新号・バックナンバー)
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/