早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第5回)~最新の施策動向について(国、東京都の補正予算による施策)~

国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。

第5回は2次補正で拡充・創設された事業者向け支援施策について解説いたします。是非ご覧ください。
(本原稿は、2020年6月16日現在の情報に基づいて執筆しています)

なお、このページは、事業者の方が必要な支援策の見当がつけられることを目的に記述しています。
補正予算で拡充・創設された施策の一部については、申請方法などの詳細が発表されていないものもありますので、詳細が発表され次第、必ず確認するようにしてください。

<目次>

1.国、東京都の補正予算で拡充・創設された施策

2020年6月10日に東京都補正予算案(以下「東京都補正」と略します)が東京都議会で可決・成立し、2020年6月12日には国の第2次補正予算案(以下「2次補正」と略します)が国会で可決・成立しました。

これらの補正予算で新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための施策が盛り込ましたが、事業者向け支援策としては大きく「もらえるお金」「借りるお金」の施策が拡充・創設されました(図1参照)。

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画像:(筆者作成資料)


当コラムですでに「もらえるお金」と「借りるお金」の施策を見てきましたが、何が拡充され、何が新たに創設されたのか、主なものをそれぞれ見ていきます。

2.2次補正(国)で拡充・創設された「もらえるお金」施策

当コラム第1回第3回で取り上げた「もらえるお金」のうち、2次補正で拡充・創設された施策を以下の図にまとめました(図2参照)。

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画像:(筆者作成資料)


この中でも、「家賃支援給付金」は2次補正で新たに創設された施策ですので、現在判明している概要について見ていきます。

① 家賃支援給付金

この給付金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が急減した事業者にとって、大きな負担となっている地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して給付されます。

給付対象者

中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、2020年5月~12月において以下のいずれかに該当する者に、給付金を支給。

  ① いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
  ② 連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少

→ 「売上の急減」を2020年5月~12月の売上で見るというのがポイントです。持続化給付金とは異なる部分ですので注意してください。

給付額

パンフレットには「申請時の直近の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額(月額)の6倍(6カ月分)を支給」とあり、給付率と給付上限額が定められています。法人と個人事業者で給付上限額が異なります。

<法人>
法人の給付上限額は、1か月100万円です。6か月トータルでは600万円が給付上限額となります。
少々複雑ですが、支払家賃(月額)75万円までの部分が2/3給付、75万円を超える部分が1/3給付となり、支払家賃(月額)225万円で上限の給付額(月額)100万円になります(図3参照)。

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(出典:経済産業省パンフレット「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」より抜粋)


<個人事業者>
個人事業者の給付上限額は、1か月50万円です。6か月トータルでは300万円が給付上限額となります。
少々複雑ですが、支払家賃(月額)37.5万円までの部分が2/3給付、37.5万円を超える部分が1/3給付となり、支払家賃(月額)112.5万円で上限の給付額(月額)50万円になります(図4参照)。

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(出典:経済産業省パンフレット「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」より抜粋)


2次補正は成立しましたが、執筆時点で詳細は準備中です。申請開始は最速で6月下旬以降、給付は7月以降になる予定です。
詳細は必ず「申請要領」を確認するようにしてください。今から、賃貸借契約書や対象月の売上台帳等があるか確認しておくとよいでしょう。

② その他の「もらえるお金」 

図2で示した「もらえるお金」のうち、「家賃支援給付金」以外の施策について補足します。

持続化給付金

持続化給付金について支給対象者の緩和が予定されています。
図に示しましたが、これまで対象外だった方が支給対象となる可能性がありますので、対象外だった事業者の方は、2次補正成立後に示される「申請要領」(執筆時点で詳細は発表されていません)を必ず確認するようにしてください。

持続化補助金

2次補正の拡充内容は、すでに第3回のコラムでお話しをしていますので、今回判明した新たな事項をお話しします。

持続化補助金において、クラスター対策が特に必要と考えられる特例事業者(ナイトクラブ、ライブハウス等、公募要領に掲げられている業種)については、補助上限が50万円上乗せされました。該当する事業者の方は、活用を検討するとよいでしょう。

雇用調整助成金/小学校休業等対応助成金・支援金

「雇用調整助成金」と「小学校休業等対応助成金・支援金」は、1日あたりの上限額が引き上がります。また、対象となる期間(休業や休暇を取得させた期間)も2020年9月末まで延長されました。
なお、「対象となる期間」と助成金・支援金の「申請期限」は異なるので注意してください。

<申請期限>
● 雇用調整助成金
 ・支給対象期間の初日が2020年1月24日から5月31日までの休業:2020年8月31日
 ・上記以外の休業:支給対象期間の末日の翌日から2か月以内
  
● 小学校休業等対応助成金・支援金2020年12月28日まで

3.東京都補正で拡充・創設された「もらえるお金」施策

東京都補正で拡充・創設された「もらえるお金」の施策は多くありますが、その中で「新しい生活様式に対応したビジネス展開支援」の施策として、以下の2つの施策を紹介します。

① 新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン等に基づく対策実行支援事業

この事業は、業界団体が作成した感染拡大予防ガイドライン等に沿った新型コロナウイルス感染症対策を行う都内中小企業等に対し、経費の一部を助成するものです。
概要は図5のとおりです(図をクリックすると拡大表示されます)。

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(出典:東京都中小企業振興公社ホームページより抜粋(赤枠は筆者が追加))


この中でポイントは、赤枠で囲った部分です。
内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」ホームページの「業種ごとの感染拡大予防ガイドライン一覧」から「業種別ガイドライン」を確認できるので、自社が所属または関連する業界団体のガイドラインを選び、そのガイドラインに基づいた取組をすることが要件となっています(ガイドラインは日々更新されているので、必ず最新のガイドラインを確認してください)。

 業種ごとの感染拡大予防ガイドライン一覧(内閣官房ホームページ)
(※ PDFが開きます)

なお、一部、上記ガイドラインの一覧の中には、本事業の申請要件を満たさない業種のガイドラインも掲載されているので、詳細は「募集要項」を確認してください。

② 非対面型サービス導入支援事業

この事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、都内中小企業の非接触型サービス導入による業態転換を図る取組に対し、経費の一部を助成するものです。

「非接触型サービス」とは、顧客と直接会わずに提供するサービスのことで、例えばECサイト構築、オンライン配信によるサービス提供、セルフレジへの切替などです。
概要は図6をご覧ください。

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(出典:東京都中小企業振興公社ホームページより抜粋)


ここでのポイントは、「現在提供しているサービス・商品を活用して、非対面型で提供すること」です。

例えば、ワインバーを経営している方がワインのオンラインショップを開くように、現在のサービス・商品の一部を使った非対面型サービスであることが必要です。
仮に、レストランを経営していた方が、個人的に保有する書道の資格を活かしてオンライン書道塾を開くことは、現在提供しているサービス・商品との関連性が認められず、助成対象外となるので、注意してください。

詳細は必ず「募集要項」を確認してください。

4.2次補正(国)と東京都補正で拡充・創設された「借りるお金」施策

「借りるお金」の施策については、当コラム第2回でご紹介しました。
融資制度は大きく2つに分けて考えるとわかりやすい、ということをお話ししました(図7参照)。

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(出典:東京商工会議所「都内中小企業・小規模事業者向け国・東京都の主な支援施策のご案内」より抜粋)

今回の国の2次補正では、以下が拡充されています。

① 政府系金融機関の融資

「政府系金融機関」とは、主に日本政策金融公庫、商工組合中央金庫のことをいいます。政府系金融機関が実施しているコロナ対策融資の融資上限額と利下げ限度額が拡充されました。
なお、「新型コロナウイルス対策マル経融資」(商工会議所の推薦が必要)については、利下げ限度額の拡充はありますが、融資上限額に変更はありません。

なお、日本政策金融公庫国民生活事業における利下げ限度額の考え方など細かい規定がありますので、詳細は政府系金融機関のコールセンターなどに問い合わせることをお勧めします。

② 民間金融機関の融資

民間金融機関とは、街中でよくみかける「●●銀行」「●●信用金庫」「●●信用組合」などです。
2次補正では、融資上限額を拡充されることになりましたが、当コラム第2回でお話しした「制度融資」も併せて検討する必要がありますので、詳細は融資申込を考えている民間金融機関に相談することをお勧めします。
また、東京都補正でも制度融資の予算を増額して対応しています。

5.おわりに

これまで5回にわたり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向け支援施策の解説をして参りました。
今回で最終回となりますが、今後も施策に変更がある可能性がありますので、施策を利用される際は必ず、関係機関のホームページから最新情報を確認してください。そして、不明点が生じたときは、関係機関のコールセンターにお問い合わせください。

 東京商工会議所では、これまで解説をして参りました各支援施策をはじめ、会員事業所のご意見を集約し、国・東京都への要望を行っております。
また、スケールメリットを生かした様々な会員サービスを展開しています。本コラムをご高覧いただき東京商工会議所の事業活動にご関心をいただいた際はご入会もご検討ください。

<関連リンク>

家賃支援給付金(ミラサポplus)
持続化給付金(事務局ホームページ)
持続化補助金コロナ特別対応型(日本商工会議所ホームページ)
雇用調整助成金(厚生労働省ホームページ)
小学校休業等対応助成金(子どもがいる従業員を休ませた事業主向け)(厚生労働省ホームページ)
小学校休業等対応支援金(子どもがいるフリーランス向け)(厚生労働省ホームページ)
新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン等に基づく対策実行支援事業(東京都中小企業振興公社ホームページ)
非対面型サービス導入支援事業(東京都中小企業振興公社ホームページ)
東京都(都と23区)の補助金・助成金・融資情報(J-net21)
国の支援策パンフレット(経済産業省ホームページ)
東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ

(本原稿は、2020年6月16日現在の情報に基づいて執筆しています) 
 

七田 亘(しちだ・わたる)
【執筆者プロフィール】
七田 亘(しちだ・わたる)

七田総合研究所 代表
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ https://shichida-ri.co.jp/

<この記事に関連するリンク>

国・東京都の主な支援施策(都内中小企業・小規模事業者向け)
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/measures_info/