【新型コロナ対策で活用できる税制措置】第2回~事業用家屋・償却資産の固定資産税減免および欠損金の繰戻し還付制度~

本特集では、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」における「税制措置」(注)の重要なポイントを3回にわたり、ご紹介します。
第2回目は「事業用家屋・償却資産の固定資産税減免」および「欠損金の繰戻し還付制度」について取り上げます。
(注)「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」など

第1回の記事はこちらをご覧ください。


<目次>

 

ポイント1.事業用家屋・償却資産の固定資産税が減免できます

(1)既存の事業用家屋・償却資産に対する固定資産税・都市計画税の減免措置

売上が大幅減少の中小事業者などに対し、2021年度課税の1年分に限り、事業用家屋と償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準を2分の1又はゼロとする特例です。

対象となる事業者など

次のいずれかの事業者が対象です。

 ・資本金(又は出資金)が1億円以下の法人
 ・資本金(又は出資金)を有しない場合は、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
 ・常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

売上減少割合と減免率

本年2月から10月までの任意の連続する3カ月間の売上高が、前年の同期間と比べて、次のような場合です。

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手続き要件

2021年1月31日までに認定経営革新等支援機関などの確認を受けて各市町村に申告する必要があります。

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出典:総務省「地方税法の改正(筆者加筆訂正)」 

(※)税務、財務などの専門的知識を有し、一定の実務経験を持つ支援機関など
  (税理士、公認会計士、弁護士など)

(2)新規の設備投資に対する固定資産税の減免対象の拡大

現行の中小企業に対する固定資産税の軽減措置(生産性向上特別措置法に基づく特例措置)において、償却資産に加え一定の事業用家屋と構築物も適用対象となり、生産性向上特別措置法の改正を前提に2022年度まで2年間延長されました。

【お問い合わせ先】
制度のお問い合わせは総務省自治税務局固定資産税課に、具体的な手続きは各市町村の担当部署にご相談ください。

ポイント2.欠損金の繰戻し還付制度が活用しやすくなります

(1)青色欠損金の繰戻し還付の特例

制度の概要

青色申告書を提出する法人について、確定申告書を提出する事業年度に生じた欠損金額がある場合には、その事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に欠損金を繰り戻して法人税の還付を受けることができる制度です。

対象企業

資本金1億円以下の法人(中小法人)から資本金10億円以下の法人に範囲が拡大されました。
(注)大規模法人(資本金の額が10億円を超える法人など)の100%子会社及び 100 %グループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人などは除かれます。

対象となる欠損金額

本年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する事業年度において生じた欠損金額について適用されます。

還付請求の手続き

原則として、還付請求を行う場合は欠損金額の生じた事業年度の確定申告書の申告期限までに還付請求書を提出します。
(注)新型コロナ税特法により本制度の対象となる法人が、本年7月1日前に確定申告書を提出している場合の請求期限は、本年7月31日となります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響で期限までに申告や還付請求の手続きが難しい場合は、その期限を個別に延長することが可能です。

 (2)災害損失欠損金の繰戻し還付制度

制度の概要

災害により災害損失欠損金が生じた法人は、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度(又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間)に生じた災害損失欠損金額を、その開始の日前1年(青色申告書を提出する法人は前2年)以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けられる制度です。

新型コロナウイルス感染症の影響による費用又は損失(災害損失)の例示

次のようなものが該当します。

 ・飲食業者などの食材の廃棄損
 ・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品などの除却損
 ・施設や備品などを消毒するために支出した費用
 ・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機などの購入費用
 ・イベントなどの中止により廃棄せざるを得なくなった商品などの廃棄損

<災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付のイメージ図>

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出典:財務省「欠損金の繰戻しによる還付の特例」

【お問い合わせ先】最寄りの税務署にご相談ください。

城所 弘明(きどころ・ひろあき)
【執筆者プロフィール】
城所 弘明(きどころ・ひろあき)

公認会計士・税理士・行政書士
日本商工会議所「税制専門委員会」学識委員