早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第4回)~税・社会保険料・公共料金の猶予編~

国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。

コラムは全5回の掲載を予定しております。
第4回は、税・社会保険料・公共料金の猶予制度を中心に解説いたします。是非ご覧ください。
(本原稿は、2020年5月27日現在の情報に基づいて執筆しています)

なお、このページは、事業者の方が必要な支援策の見当がつけられることを目的に記述しています。申請方法など詳細は、下部にあるリンクをご覧ください。

<目次>

1.猶予制度を活用する意味

すでに当コラムで解説したとおり、資金繰りを支援する施策には、大きく3つに分けて考えることができます(図1参照)。その中で、3番目の「お金の支出抑制」についてお話します。

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画像:(筆者作成資料)

資金繰りを考える上で大切なことは、「入るお金」と「出るお金」の両方について考えることです。「入るお金」を多く、「出るお金」を少なくして手元資金を確保するという視点が必要です。

当コラムの第1回~第3回にかけては、「もらえるお金」と「借りるお金」について取り上げましたが、これらは全て「入るお金」についてのお話でした。一方で、今回(第4回)は「お金の支出抑制」、つまり「出るお金」をできる限り少なくする取組を支援する施策について見ていきます。

2.税金の支出を抑える

新型コロナウイルスの影響が広く出ている状況の中で、申告・納税が困難になった事業者の方は、以下の税制措置の利用を検討しましょう。

 ①申告・納税期限の延長
 ②納税猶予
 ③固定資産税・都市計画税の減免(2021年度分)

 以下、もう少し詳しく見ていきます。

① 申告・納税期限の延長

いわゆる「確定申告」が必要な税金(所得税、法人税、消費税、個人事業税、法人事業税、法人都民税など)について、新型コロナウイルスの影響で申告期限までに申告ができない事業者の方は、申告期限の延長ができます。申告期限が延長できれば、納税期限も延長されることになります。申告・納税期限の延長によって、基本的に延滞税・利子税は発生しません

② 納税猶予

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月以降、事業収入が減少(前年同月比概ね▲20%以上)し、納税が困難となった事業者について、無担保かつ延滞税なしで納税が猶予されます。猶予される期間は、原則として1年間です。
上記①の確定申告が必要な税金のほかに、固定資産税など基本的にすべての税が対象となっています。なお、「猶予」であって税金を払う義務が無くなるわけではないので、ご注意ください。

①と②の措置は、法人・個人ともに要件に該当すれば利用できますし、事業規模の制限もありません。また、青色申告、白色申告どちらの場合でも対象となります。①と②の措置の関係をまとめると、図2のとおりとなります。

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(出典:経済産業省パンフレット「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」より抜粋)

③ 固定資産税・都市計画税の減免(2021年度分)

中小事業者等(資本金1億円以下の法人、従業員1000人以下の個人事業者等)が保有する事業用建物や設備にかかる来年(2021年)の固定資産税・都市計画税が減免されます。

2020年2月~10月までの任意の連続する3か月間の事業収入の対前年同期比が50%以上減少した場合は全額、30%以上50%未満の場合は2分の1の割合で減免されます。固定資産が所在する市区町村への減免申請のため、収入減少等の確認を認定経営革新等支援機関に依頼するなどの手続きが必要です。

なお、これらの税制措置の利用にあたって不明な点があれば、顧問税理士または税務署(法人税、所得税など)、都税事務所(固定資産税、都市計画税など)に相談してください。

3.社会保険料・公共料金の支出を抑える

社会保険料とは、健康保険、厚生年金保険、国民健康保険等のことです。公共料金とは、電気、ガス、電話、NHK受信料のことです。これらについても、支払いを猶予(NHK受信料の場合は免除)できないか検討しましょう。
これらは個々に猶予や免除が認められる要件が異なりますので、個々にホームページで調べた上で、疑問点を整理して問い合わせ窓口に問い合わせてください。

少し補足しますと、社会保険料のうち厚生年金保険の納付猶予の要件は、先ほどお話しした税金の納税猶予とほぼ同じ内容です。年金事務所へ申請書の提出が必要になるのでご注意ください。

また、NHK受信料の免除は、第1回で取り上げた持続化給付金の給付決定を受けた事業者が対象で、免除申請した月と翌月の2カ月分の受信料が全額免除されます。2021年3月末までが申請期限ですので、ご注意ください。特に宿泊業など複数台契約している事業者の方は、ぜひ検討したい施策です。

4.おわりに

当コラムの第1回から第4回にかけて、資金繰りという視点で資金を確保するために有効な国・東京都の施策を見てきました。その他にも、加入者限定にはなりますが、

 ・小規模企業共済制度の特例緊急経営安定貸付(無利子)
 ・中小企業倒産防止共済制度の一時貸付金
 ・生命保険会社の契約者貸付

といった制度もあわせて検討すると良いでしょう。

今回、紹介した施策以外にも事業者によって有効な施策はありますので、もし不明な点があれば、東京商工会議所に相談してください。


<関連リンク>

申告期限の柔軟な取扱い(国税庁ホームページ)
納税を猶予する「特例制度」(国税庁ホームページ)
換価の猶予(日本年金機構HP)
電気料金に関する対応事業者一覧(対応予定を含む)
ガス料金に関する対応事業者一覧(対応予定を含む)
電話料金に関する対応事業者一覧(対応予定を含む)
受信料免除について(NHKホームページ)
国の支援策パンフレット(経済産業省ホームページ)
東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ
 
 

七田 亘(しちだ・わたる)
【執筆者プロフィール】
七田 亘(しちだ・わたる)

七田総合研究所 代表
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ https://shichida-ri.co.jp/

<この記事に関連するリンク>

国・東京都の主な支援施策(都内中小企業・小規模事業者向け)
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/measures_info/