早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策(第3回)~補助金・助成金編~

国・東京都・東京23区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに多くの支援施策を打ち出しています。
東京商工会議所では、「早分かり解説!事業者向け新型コロナ支援施策」と題し、支援施策について七田総合研究所 代表 七田 亘 様に「分かりやすく」解説いただいたコラムを掲載させていただくこととなりました。

コラムは全5回の掲載を予定しております。
第3回は補助金・助成金について解説いたします。是非ご覧ください。
(本原稿は、2020年5月27日現在の情報に基づいて執筆しています)

なお、このページは、事業者の方が必要な支援策の見当がつけられることを目的に記述しています。申請方法など詳細は、下部にあるリンクをご覧ください。

<目次>

1.補助金・助成金とは?

第1回で解説したとおり、一言で言えば「もらえるお金」です。

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画像:(筆者作成資料)

しかし、第1回で取り上げた給付金・協力金と異なるのは、補助金・助成金は「お金の使いみちを限定」(使途を限定)していることです。
つまり、何を補助してもらいたいのか事前に申請をし、申請したものを実際に買った(お金を支出した)場合に支給されるということです。

したがって、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるための取組に対して、何等かお金の支出が伴う場合、これから紹介する施策の活用を検討してみましょう。
この「新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるための取組」には、「守りの取組」「攻めの取組」がありますので、それぞれ見ていきます。

 

2.「守りの取組」を支援する補助金・助成金~雇用維持を支援する施策~

「守りの取組」とは、当面の事業資金を確保するための取組です。
当コラム第1回で紹介した給付金・協力金、第2回で紹介した融資は、「守りの取組」といえます。今回のテーマである使途を限定した補助金・助成金の代表例として、「雇用調整助成金」「小学校休業等対応助成金」があります(図2参照)。

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(出典:東京商工会議所「都内中小企業・小規模事業者向け国・東京都の主な支援施策のご案内」より抜粋)

これは、新型コロナウイルスの影響で従業員を休ませた場合に支給する休業手当などの賃金の一部を国が助成する制度です。休業手当などを従業員に支給して雇用維持を図っている事業者の方は、ぜひ活用を検討してください。

ただ、申請書の書き方、出勤簿や賃金台帳といった添付書類の準備が難しいという事業者の方もいるでしょう。その際に活用を検討したい施策として、東京都の「休業等支援事業(専門家派遣)」があります。
最大5回まで、社会保険労務士が派遣され、助言を無料で受けることができます(注:あくまで「助言」であり、申請代行はしません)。

 新型コロナウイルス感染症に係る休業等支援事業(東京都ホームページ)

雇用調整助成金や小学校休業等対応助成金の申請代行を社会保険労務士に依頼せず、自力で申請する事業者の方は、ぜひ活用を検討してください。

3.「攻めの取組」を支援する補助金・助成金~コロナ時代に対応した取組を支援~

「攻めの取組」とは、コロナ時代に対応した取組です。
「守りの取組」で一段落ついたら、次は、コロナ時代に対応した取組(戦略)を考えなければいけません。では、「コロナ時代に対応した取組」とは何でしょうか。事業者によって、様々な取組が考えられますが、以下のような取組の方向性が考えられます。

コロナ時代に対応した取組(攻めの取組)の方向性

類型A:サプライチェーンの毀損への対応
(例)・部品調達困難による部品内製化
   ・出荷先営業停止に伴う新規顧客開拓等
類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換
(例)・自動精算機、キャッシュレス決済端末の導入
   ・店舗販売からEC販売へのシフト等
類型C:テレワーク環境の整備
(例)・WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導入

上記の取組の方向性は、国が実施している小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」の特別枠の申請要件に定められているものです。「コロナ時代に対応した取組」の一つの考え方として参考になるかと思います。そして、上記の類型に該当する取組に対して、国は補助金の特別枠を設定し、支援内容を拡充しています(図3を参照)。

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(出典:経済産業省資料「生産性革命推進事業による事業再開支援パッケージ」より抜粋)

特別枠に該当した場合、「小規模事業者持続化補助金」の補助上限が通常枠より引き上げられています。また、特別枠のうち、類型B(非対面型ビジネスモデルへの転換)と類型C(テレワーク環境の整備)への投資が補助対象経費の6分の1以上の場合は、補助率が引き上げられています。
補助対象となる経費についても、「IT導入補助金」ではPCタブレット端末等のハードウェアレンタル費用が対象となり、「ものづくり補助金」では広告宣伝費・販売促進費が対象となり、通常枠より特別枠は使い勝手が良くなっています。

さらに、「小規模事業者持続化補助金(特別枠・通常枠)」「ものづくり補助金(特別枠)」では、各業界団体が策定したガイドライン等に沿った感染防止対策の投資に対して、新たに定額補助・補助上限50万円の別枠(事業再開枠)を上乗せしています。事業再開に向けて、消毒、マスク、飛沫防止対策のアクリル板、換気設備などの感染防止対策に必要な経費が補助対象となりますので、あわせて申請を検討しましょう。

これら「攻めの取組」を実行するには、お金がかかります。この「お金の使いみち」ごとに国と東京都の主な施策をまとめたのが、以下の図4です(東京商工会議所のパンフレットを筆者が執筆時点の情報を加筆修正して抜粋)。

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(出典:東京商工会議所「都内中小企業・小規模事業者向け国・東京都の主な支援施策のご案内」より著者が執筆時点の情報を加筆修正して抜粋)

詳細は、各施策の問い合わせ先のホームページから、「公募要領」をダウンロードして読んでください。その上で、わからない部分を明確にして、電話等で問い合わせましょう(漠然と「●●補助金について教えてほしい」と質問するのは、事業者、窓口担当者双方にとって有益ではありません)。
 
また、「攻めの取組」を支援する補助金・助成金は、申請者全てがもらえるわけではありません。競争試験のようなもので、事業計画(申請する取組)の内容が審査で問われます。書面で判断されるので、図・写真を入れる、根拠を添えて具体的に書くなどして、審査員に取組内容が伝わる説明をしてください。「きちんと」「しっかり」「強化する」「徹底する」といった曖昧な言葉はなるべく使わず、「なぜ」「何を」「どの程度」行うのか説明することを心がけてください。

4.おわりに

補助金・助成金は、「もらえるお金」といっても、原則として、申請したものを実際に買って(お金を支出して)、かつ、事務局のチェックを通った場合に支給されるものなので、すぐにもらえるわけではありません(注:一部の補助金で概算払いの運用が始まりましたが、全額が概算払いされるわけではありません)。

早期支給ができるように国や東京都は努力していますが、施策によってはかなり支給まで時間がかかっているのが実態です。資金がひっ迫している事業者の方は、補助金・助成金受給までの資金繰りとして、融資(「借りるお金」)も併せて考えてください。

また、国や東京都の施策のほかに、23区で独自に行っている施策もぜひチェックしてください。以下のホームページに23区ごとの施策が掲載されています(注:全ての施策が掲載されているとは限りませんので、該当する23区のホームページも併せてチェックすることをお勧めします)。

 東京都(都と23区)の補助金・助成金・融資情報(J-net21)
 

なお、補助金・助成金は、ルール(交付要綱など)に従ったお金の支出、書類の保存、報告書の作成等が義務付けられています。税金等を財源にした公的なお金をもらう以上、決して「タダで簡単にもらえるお金」ではないことは肝に銘じてください。

<関連リンク>

雇用調整助成金(厚生労働省ホームページ)
新型コロナウイルス感染症に係る休業等支援事業(東京都ホームページ)
中小企業生産性革命推進事業による「事業再開支援パッケージ」を策定しました
東京都(都と23区)の補助金・助成金・融資情報(J-net21)
国の支援策パンフレット(経済産業省ホームページ)
東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ
 

七田 亘(しちだ・わたる)
【執筆者プロフィール】
七田 亘(しちだ・わたる)

七田総合研究所 代表
中小企業診断士・社会保険労務士
<略歴>
埼玉県庁にて中小企業の経営革新支援等の商工行政などに従事し、企業の「行動」が伴う経営革新計画の策定支援の実績多数。その後、みずほ総合研究所株式会社のコンサルタントとして、主に企業の人事制度再構築、M&Aに係る人事制度統合コンサルティングに従事した後、開業。中小企業施策活用、中小企業の経営戦略策定(新規事業開発、財務計画含む)から実行支援、人事労務に関する問題解決のコンサルティングとセミナーを得意とする。
日本商工会議所 規制・制度改革専門委員会 学識委員
七田総合研究所ホームページ https://shichida-ri.co.jp/

<この記事に関連するリンク>

国・東京都の主な支援施策(都内中小企業・小規模事業者向け)
https://www.tokyo-cci.or.jp/covid-19/measures_info/