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万が一に備えた対策を! 感染症の観点から考えるBCP(事業継続計画)のすすめ

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新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、企業における感染症対策が急務となっています。一人一人が感染予防のための対策を講じることはもちろん、企業側でも万が一の事態に備えた事業継続計画の策定が重要です。

今回の特集では、感染症BCP(事業継続計画)策定のポイントや、職場の感染症対策を推進するためのプロジェクトについて解説します。

※本記事は、東商新聞デジタル版2020年4月20日号に掲載しました
※本特集は3月末日時点の情報に基づいて作成しています


BCP(事業継続計画)は、自然災害だけではなく、感染症のまん延や大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶などの不測の事態が発生しても、自社の重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、手順などを示した計画のことです。
BCPを策定するにあたり、感染症の観点から押さえておくべきポイントを説明します。
執筆:ミネルヴァベリタス顧問・信州大学特任教授 本田 茂樹 氏

ポイント1:感染予防策を徹底し職場の感染者を減らす

新型コロナウイルス感染症に限らず、インフルエンザやノロウイルスなど身近な感染症が流行し、職場内に広がると企業活動に支障が出ます。

企業は、労働安全衛生法において、「職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」とされていますから、職場において「手洗い」「咳エチケット」、そして「発熱や全身倦怠感などの症状がある従業員は出社しない」などの感染予防策を徹底して進めることが重要です。

また、時差出勤テレビ会議などの仕組みを導入することで、人との接触を減らすことも自社で検討すると良いでしょう。

ポイント2:BCPは中核事業の 絞り込みがポイント

感染症の感染拡大期・まん延期には、多くの従業員が出社できない状況が発生する可能性があります。
そこで、そのように企業の要員が限られる場合でも、「どの事業を継続させるべきか」を検討しておくことが必要です。

自社の中核事業は、次の観点から絞り込みます。

①社会からの必要性

感染症が流行している時期でも、医療機関や医薬品製造・販売事業者、そして電気・ガス・水道などのライフライン事業者は、社会機能を維持するために事業継続を求められています。従って、これらの事業者に製品やサービスを提供している事業者も、当該事業を自社の中核事業として継続していくことが必要です。

②自社の経営維持

自社の売り上げ全体に占める割合が大きい事業、また主要な取引先から強く継続を求められている事業などは、中核事業として継続することが必須です。

③行政からの自粛要請

企業活動を継続しようと考えていても、自粛を要請される場合があります。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」のもとでは、国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れがある感染症が国内で発生し、全国的かつ急速なまん延により国民生活および健康に甚大な影響があると考えられる場合に、「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」が発出されます。

この新型インフルエンザ等緊急事態宣言においては、感染症の流行拡大を防止するために、都道府県知事から、不特定多数の人が集まる場などを提供している企業に事業活動の自粛を要請する可能性があります。 

ポイント3:従業員の確保は必須

企業の経営資源の中で、感染症から最も大きな影響を受けるのは従業員です。そこで、BCPで必須となるのが要員の確保です。 

①在宅勤務体制(テレワーク)の整備

自らは感染していない場合でも、通勤による感染を恐れる、あるいは高齢者の介護や子供の世話という理由で出社できない従業員が出てくることが考えられます。
このような従業員も在宅勤務体制があれば、業務を続けることが可能です。 在宅勤務を実施するためには、事前に情報セキュリティや勤怠管理などの観点からの検討も必要です。

②クロストレーニングの実施

特定の従業員しか遂行できない業務があると、その従業員が感染した場合にその業務が止まります。一人の従業員が複数の業務をこなせるようにクロストレーニングを行い、いわゆる、多能工化を進めることが重要です。

【執筆者プロフィール】

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本田  茂樹
ミネルヴァベリタス株式会社 顧問
信州大学 特任教授
<略歴>
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、現在のMS&ADインターリスク総研株式会社の勤務を経て、現在に至る。リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。
これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭を執るとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。

 

<この記事に関連するサイト>

職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/12/

東商新聞デジタル版2020年4月20日号
https://www.tokyo-cci.or.jp/newspaper/page200420/